いつの日かまた、野江股谷遡行。

渓谷の名称
野江股谷
山域(ピーク)
台高(ナンノ木平)
渓谷の概要
蓮川渓谷周辺には絵馬小屋谷や奥ノ平谷など台高山脈を代表するような谷がひしめき合っている。そんな中でナンノ木平から江股の頭付近の水を集める野江股谷、以前は美しい廊下が延々と続く界隈でも屈指の美渓であったが2011年の水害で右岸の山腹が崩壊、中流域は完全に埋まってしまった。下流部と上流部にも荒れた部分はあるものの昔の面影は残しており今のところ何とか命脈を保っている。ただし土砂の堆積は膨大で今後の降雨次第でその姿は大きく変わる可能性がある。個人的には奥ノ平谷に次いの良渓と思っていただけに生末が心配でならない。
コースタイム
【絵馬小屋林道起点】 7:40
【野江股谷出合い】 8:00
【不動滝】 8:20
【鶴小屋滝】 9:20
【Co810m二俣】 11:35
【ナンノ木平】 13:15
【絵馬小屋林道起点】 15:20
ポイント
【★★★☆☆(沢2級+)】 不動滝廊下と10M滝の突破がポイントになる。今回はイガミ滝を飛ばしたため少し戻り気味に大きく巻いて滝上に懸垂下降で降りた。10M滝は両岸共に巻けるがどちらもやや悪い、今回は右岸の急斜面を木の根頼りで押し切った。中間部が崩壊してしまい昔の幽すいさは失われてしまったが前半はまだ健在なので数々の造形美を楽しんでもらいたい。
下 山
【★☆☆☆☆(登山道あり)】 ナンノ木平から出合いまでは良く整備された登山道があって比較的安全かつ短時間での下山が可能、整備に尽力されている方々に感謝です。
装 備
一般遡行装備必携、ロープ(8mm×30m)、登攀具も持参したが未使用、中間支点は立ち木を利用した。
お勧め度
★★★★☆
参加人数
2人
所要時間
約8時間
天候
曇り
遡行日時
2017/06/11
地形図
七日市
主な地質
DATEなし
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかったが・・・ 《温泉》:奥香肌温泉スメール(700円) 《その他》:今回は晴天続きで蛭には遭遇しなかったが夏場は「いる」と思っておいた方が無難だろう。


【再訪】 

野江股谷の遡行は二回目です。
聞けば2011年の水害で中流域が崩壊してしまい昔の幽すいさは薄れてしまったとの事、
今回はその確認と他にも少し目的があっての再訪となった。

早めの行動を心がけて7時頃には絵馬小屋谷林道の起点に到着、
普通車でも終点まで入れるけど「新車なので」という身勝手な理由で起点に駐車させてもらう(^^;。

準備を整えて出発は7時40分。

【野江股谷出合い(8:00)】 

林道終点が二俣で左手が絵馬小屋谷、右手が野江股谷、
どちらもなかなかカッコイイと言うか興味深いネーミングやね。

目的の野江股谷はやや大きめのゴーロ、
適当に交わして行くと前方に支流を見て早くも廊下の気配。



まずは大きめのゴーロから

突然洞窟のような真っ黒い空間が出現、
えっマジで?。

一瞬胸まで浸かって廊下の中へ、
そこには絶品の直瀑が待ち構えていた。



不動滝廊下の入口はまるで洞窟探検の趣

不動滝15M、ほんま素晴らしい、
滝好きなら必見の一本ですわ。



渕を越えないと絶景と出会えない不動滝15M

不動滝の上にはイガミ滝って言うこれまた絶品の滝があるんやけど、
今日は色々と都合があってカットする事になった。

巻きは廊下の入口からやや戻るように巻いて行く、
折り返しでちょっとした岩場を登るけど慎重に行動すれば難しくはない、
途中からは踏み跡が出て来てそれを伝えば滝上に導かれる。
イガミ滝を見ないならこのルートが一番楽だろう。

ただし谷への復帰は6Mくらいの懸垂下降。



廊下を抜けると美しい7M滝がお出迎え

【鶴小屋滝(9:20)】 

廊下はくねくね曲がって優美な7M滝、
続いては奇観とも呼べる鶴小屋滝8M、
「なんでこうなったん?」て感じで造形の奇跡を感じます。
神様って天才クリエイターやね。



自然の造形美に感動する鶴小屋滝8M

ここは左岸のルンゼから巻き上がり、
バンドをそのまま伝って支流の滝が見えるところで谷に戻る。

目の前でU字を書くように曲がってこれまた特徴的な5M滝、
右手から越えると少し穏やかになった。



鶴小屋滝をミニチュア化したような5M滝

この先で右岸から道型が寄ってくる。
古い地図に記載のある野江股谷から滝見尾根に上がる旧道やろか?、
比較的新しいテープ類があるから歩いてる人はいそうやけど・・・。

道が左岸の斜面に登っていくとまた廊下の雰囲気になって来た。
磨かれた両岸にくねくねと蛇行する谷、
岩の造形や文様、水とのコントラストも絶妙なんですよね。
こんな場所に立つとどんな美術品よりも見入ってしまいます。



長く続く廊下はまるで神様のキャンパスやね

6M、7M、6Mと越えて行く、
直登できる滝もあるから楽しいところですね。



登れる滝も結構あるから楽しいですよ

そんな絶景遡行は10M滝でクライマックスを迎える。
両岸高くてこれはちょっと考えないといけないぞ、
左岸は岩壁混じりの巻き、
右岸は木の根頼りの急斜面。

さあどっちにしよか・・・、
以前は左岸を巻いた気がするけどトラバースが微妙やった気が?、
なら今回は右岸かな。



10M滝は両岸巻けるがどちらも一癖あり、今回は右岸から巻いた

滑ると下まで行きそうなので念のためロープを着けて登攀開始、
30mロープ目一杯使った。

【大崩壊地(10:55)】 

すると目の前に大崩壊地が出現、
これが例の場所か・・・。

今までの美しい空間が嘘ののような荒涼たる風景、
これはいったい・・・、
ひよっとして破壊神ビルスさまの仕業かな?(^^;。

神様は自ら作り上げた作品を一瞬で壊したりもする。
いや、これはもはや人の仕業なのかも?、
全ての元凶を考えれば環境破壊による気象変動がもたらした事なのかもしれない。

そう考えるとこの造形美を見るに値しないって警鐘なのかもしれませんね。
塗りつぶされたキャンバスに新たな造形が刻み込まれるのはいつの日だろう。
はたして人はそれを見ることができるのだろうか・・・。



大崩壊地、ここに新たな造形が刻み込まれるのは何年先だろうか?

崩壊地が終わるとすぐまた廊下になる。
前半と違ってちょっと荒々しい感じ、
中には斜瀑と2M滝があるだけだが最狭部に渕があって一瞬泳がされた。



荒々しい廊下、渕があって一瞬泳がされた

【Co810m二俣(11:35)】 

暫く進むとCo810mの二俣、
今回はナンノ木平へ直接詰め上がる左股を選択した。

左股は急なゴーロから始まる。
前方に100mはあろうか巨大な壁が見えて険悪さ満載、
その基部で右から6M滝が入る。

頑張れば直登もできそうだけど左岸から小さく巻いた。
このルートが無ければ結構な難物だったに違いない。



左股に入っても廊下が続いて飽きさせない

廊下を抜けると伏流のゴーロ、
今日は曇天なのが幸いだ。

右岸に滴を垂らすCS12M滝、
これがナンノ木平へ直接詰める谷だ。
一旦直進する谷に入って壁が切れたところで折り返す。



CS12Mを越えるとようやく源流の雰囲気に

幾つかの小滝を越えると源流の雰囲気になった。
後は自然林の中を忠実に詰め上がればナンノ木平の南側コルに飛び出した。

【ナンノ木平(13:15)】 



この木なんの木気になる木、ナンノ木平のミズナラです

下山はよく整備された登山道を出合いへと向かう。
ややこしい場所にはトラロープも張ってあるから悪天でもない限り問題ないだろう。

のんびり下って15時20分に駐車地へと戻った。

【再生はいつ・・・】 

野江股谷の崩壊は航空写真でも見ていたが、
実際目にすると想像を遥かに超える惨状であった。

土砂の流入は中流域10M滝の上で何とか止まっているけど、
その堆積量は膨大で今後大雨とか降れば一気に谷を埋める危険性もある。

美しい造形が見られるのはいつまでであろうか?、
そして崩壊した場所に新たな造形美が生まれるのはいつの日だろうか?、
その生末を案じずにはいられない。

今日もお疲れ様でした。



遡行図




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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