ラバーソールで滝本北谷を再訪、石で滑り苔で滑り木で滑る。

渓谷の名称
滝本北谷
山域(ピーク)
南紀
渓谷の概要
大雲取山からの水を集め数々の名瀑を連ねながら滝本で小口川へとそそぐ滝本北谷(たきもときたん)は初心者でも快適に楽しめる秀渓です。初心者が沢の楽しみを知るのにもうってつけではないでしょうか。山域全体を見れば植林主体の山だけど渓中には自然林も残されており新緑と紅葉の季節は格別の美しさがある。
コースタイム
【駐車地】 7:15
【筆藪滝】 7:45
【猿手滝】 8:35
【屏風滝】 10:10
【取水堰堤】12:20
【駐車地】 14:45
ポイント
【★★☆☆☆(沢1級+)】 どの滝にもしっかりとした巻き道があるので難しい場面は無いと思う。取り付きが若干不明瞭なところもあるがしっかり探せば必ず見つかります。南紀特有の一枚岩を流れる滝群とナメの競演を楽しんでもらいたい。
下 山
【★★☆☆☆(要読図)】 下山は導水トンネルの巡視道から滝本北谷と本谷の境界尾根に出てそれを伝う。今ではしっかりとした踏み跡が付いており獣除けネットもあるので以前よりだいぶ判りやすくなった。ただしCo690m付近はうっかりすると南進する尾根に入ってしまうから地形の確認を。
装 備
一般遡行装備必携、通常ルートなら登攀具は不要だろう。今回ラバーソールを使用したがこの界隈の岩質との相性は最悪でとんでもなく滑る。
お勧め度
★★★★☆
参加人数
2人
所要時間
約7時間
天候
晴れ
遡行日時
2016/10/10
地形図
紀伊大野
主な地質
流紋岩
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:十津川温泉庵の湯(400円) 《その他》:前夜に立ち寄った湯の峯温泉の共同浴場は泉質も値段(250円)も最高の一湯。


【13年ぶりの再訪】 

今年はずっと暑かったけど突然朝晩冷えるようになった。
この気温で沢に行くなら南紀やな・・・。

という訳で久々の南紀訪問、
場所もこれまた久々の滝本北谷、
なんと13年ぶりの再訪である。

記憶も薄れてきたし再訪にはちょうど良い塩梅かもね。

前夜アプローチだが小口から滝本までの道のりの長い事、
舗装はしているものの相変わらずの悪路で閉口してしまいます。

5時半起床、
寒い・・・。
そろそろ冬用シュラフにせなあかんわ(^^;。

凍えながら準備を整え7時15分出発、
滝本の小学校跡から林道に入って終点まで進む。

今年からラバーソールを導入してるが、
久々の南紀だし色んな岩質をフリクションテストしたいのでラバー靴をチョイス、
しかしこの選択が大きく影響する事になろうとは・・・。

【筆藪滝(7:45)】 

林道終点から筆藪滝まではすぐ、
左岸の山肌が大きく崩落してて痛々しい、
前はもっと深山幽谷の趣だった気がする。

それにしてもなんちゅう水量や・・・、
昨日かなりの降水があったみたいだけど想像以上の大迫力、
苔の沈み具合からみても10cmは増水してる。



大迫力の筆藪滝

ここは右岸の釜沿いから接近して樹林帯を巻く、
取り付きがやや不明瞭だが踏み跡はしっかりしていた。

暫くゴーロが続くのだが靴がめちゃくちゃ滑る。
南紀特有ののっぺりした流紋岩、
濡れていようが乾いていようが苔の有無も関係なし、
とにかく全てでツルツルやん。

特に蹴り出しの体重移動が効かずゴーロが歩けない、
唯一踏めるのが緑の苔がフサフサと茂った場所だけ。

なので殆ど流れに入れず際の樹林帯を行く羽目に、
これでは沢を遡行しているとは言えないわ・・・。
流紋岩と某ラバーソールとの相性は最悪なようです。

前方に滝が見えて近寄ると15Mの直瀑が豪快に落ちていた。

【猿手滝(8:35)】 

この滝は支流の越前谷に落ちる猿手滝、
北谷は右折して廊下の奥に20M滝を落とす。
これが部屋滝、この谷で一番豪快な景色だろう。



廊下の奥に豪快な部屋滝が落ちる。

部屋滝は完全な廊下の袋小路で突破は無理、
一旦越前谷の出合いまで戻って猿手滝の右手から巻いて行く、
巻き道にはトラロープが張ってあるのでルートは分かりやすいと思う。



支流の越前谷に落ちる猿手滝、この右手から取り付く

滝上はナメ床となるがこれがまた滑る滑る。
フェルトだと手放しで歩けるようなところでも四つん這いになってしまう、
大げさかもしれないがそうでもしないと突然のスリップで怪我しそうなのだ。



溜湾殿滝は左岸からの巻き

溜湾殿滝からナメ床が終わると巨岩帯に突入、
大岩を右に左に、時には流木を乗り越えて進むが、
この流木がまた滑る滑る。

フェルトだと手放しで歩けるような場所でも四つん這いになってしまう、
大げさかもしれないがそうでもしないと突然のスリップで怪我しそうなのだ。

相方は流れの中を楽しそうに進むけど、
私は殆ど際歩き。
ここまで来るともう遡行なんだか登山なんだか徘徊なんだか分からない。



巨岩帯を右に左にかわして行く

ケヤキ原滝は北谷随一の落差を誇る。
両岸高い壁に囲まれて壮観の地ですね。



30Mの落差を誇るケヤキ原滝、ここは左岸を大きく巻く

さて突破はどうしたものか!?、
左岸の壁沿いを踏み跡に導かれて登って行く、
やがて壁が切れるので折り返せば落ち口のちょっと上に出てきた。

ここも踏み跡は明瞭で迷う心配は少ないかな、
この谷はどの滝にもしっかりした巻き道があってその人気が伺えます。



左岸の壁沿いを登って壁が切れたら折り返す

【屏風滝(10:10)】 

続いては屏風滝、
まるで人工物のようにスパッと断ち割った滝で美しさは最上級。
左岸から支流の8M滝も合わさって北谷一の見せ場ではないだろうか。



北谷一の見せ場、屏風滝

突破はちょっと癖があって左岸支流8M滝の更に手前から取り付いて8M滝の上で支流を渡る。
そこから屏風滝左岸の岩壁を回り込むように超えるとそこには桃源郷のような広場、
こんなところに泊まれたら最高やろねー。
その広場の奥から谷へ降りると亀壺ノ滝へと導かれる。

普段は二条と言われる亀壺ノ滝も今日は全面水流で波紋のさまが美しい、
そう言えば前回この釜で泳いだ記憶がある。

今回は泳がずに右岸のキワから巻き登り、
なんと真新しい鎖が設置してありまるで観光地の遊歩道、
沢にこれはちょっとやりすぎなんちゃいますん(^^;。



波紋のさまが美しい亀壺ノ滝

ここから延々とナメが続く、
本来なら一番楽しいところだが脅威のスリップ力にへっぴり腰、
相方はフェルト靴でどんどん先行するががこっちは泣きたい気分である。



こんな斜瀑は驚異のスリップ力で全く足が出ない

ようやくスリップ地獄のナメが終わって次は巨岩のスリップ帯、
相方に助けてもらいなんとか乗り越えた。

すると完全な河原状、
なんだか足元を気にし過ぎて疲れてしまった。
ちょっと休憩にしてください・・・。
懇願して昼食タイムを取ってもらい心のエナジーを補給する。



こんな完全な河原もあるんです

もうちょい進めば比丘尼滝、
その昔山賊に襲われた尼僧がこの滝から落とされたとか、
変わったな名前やと思ったけど何とも恐ろしい出来事があったんですね。

突破は左岸の斜面に巻き道があります。
パッと見判り辛いけど斜面に近づいてみればしっかり踏まれた道がある。



恐ろしい言い伝えが残る比丘尼滝、左岸巻き

続く斜瀑群を相方は直登、
私は右岸から巻き登るとすっかり穏やかな渓相になった。
左岸に巡視道の階段と看板を見て遡行を打ち切った。

【取水堰堤(12:10)】 

下山は幾つか分岐があって要確認です。
まず巡視道を登って行くと小尾根に出る。

左折して少し進めば右に分かれる水平道があるはずでこれに入ります。
分岐に道標はなく直進道の方が踏まれているので見落とさないように、
この道を伝うとやがて登りになって本谷との境界尾根に到着。

境界尾根を西に進めば伐採尾根に獣除けネットが出てきます。
道はネット沿いに続いているのでそのまま進みましょう。

Co690m付近はうっかりしてると南の尾根に入ってしまうのでしっかり方位の確認を、
やがて植林の中に入って本谷の巡視道へと導いてくれます。

因みに南の尾根に入ると本谷の奥コッペ滝付近に出てくる。
その場合は奥コッペ滝の右岸を巻き下って『盛綱の要害』に出ます。
そこから巡視道に入ればよいでしょう。
史跡も見れるからもしかしたらこっちの方がお得かも?(^^;。



下山は獣除けネット沿いを進むが要チェックなポイントもあり

本谷の巡視道に出れば後は高速道路のような快適下山!。
14時45分駐車地へ戻り着く。

お疲れさまでした。

【谷は最高に綺麗だけど・・・】 

タイトルにもしたがこの界隈の岩(流紋岩)と某ラバーソールの相性は最悪かも、
滝もナメも転石もまるで氷の上を歩いているみたいです。
唯一踏めるのが緑に茂った苔の上だけなんですよね。

相方はフェルトソールの遡行だったが全く問題ないと言うし、
この日の水量なら渇水で滑りが酷かった訳でもないだろう。
それに以前の遡行でもフリクションは良好だった記憶が残っている。

だとすれば純粋にラバーソールと岩質との相性が悪いという事か?、
今年初めてラバーソールを導入して比良、大峰、台高と試してみたが、
この靴なかなか使いどころが難しいですね。

「場面によっては十分なグリップ力が得られない」的な表現を見たことあるが、
正直なとこ「場面によってたまに凄いグリップ力が得られるがそれ以外は・・・」という感じです。

これだけ滑ると常に足運びに集中せねばならず沢を楽しむ余裕がなくなってしまう。

フェルトとラバーソール、
それぞれの特徴を見極めて使い分けろって言いたいのかもしれないけど、
それって経験の積み重ねで判ってくる訳ですからねぇ。
経験の浅い人がこれ一択で使うと怪我する人も出てきそうで心配やわ。
もうちょっと何とかならないもんでしょうか・・・。

今日思った事、
靴が違うと沢のイメージも変わります。

沢靴にはまだまだ進化の余地がありそうですね。



遡行図




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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