楯ヶ谷よ、また来るから待ってろよ!

渓谷の名称
楯ヶ谷
山域(ピーク)
南紀
渓谷の概要
楯ヶ谷が遡行の議題に上がる事は殆ど無く「何処?」と思う人も多いだろう。国道168号を走っていると十津川第二発電所辺りで対岸に聳える岩壁群が見えるので「嗚呼あそこか」と思う人もいるかもしれない。その壁群に割って入るのが楯ヶ谷である。風土記に「水多く見事な滝なり、然れども谷に入らざれば見るへからず」と書かれた楯ヶ谷滝を内包し国道より僅かの距離ながら仙境の面持ちだ。ところがアプローチに難があって容易な入渓を許さない。簡単に見れないと余計に見たくなるのが人の常、それ故に遡行欲を掻き立てる近くて遠い谷ではないだろうか。
コースタイム
【相須集落奥の駐車地】 09:30
【楯ヶ谷出合い】 10:30
【楯ヶ谷滝】 10:50
【相須集落奥の駐車地】 13:15
ポイント
【★★☆☆☆(沢2級)】 相須からアプローチするとコケ谷付近の岩壁処理が問題となる。熊野川沿いに進むなら流れの基部をトラバースになるがスタンスの乏しい場面もある。夏なら泳ぐのが最短だが水量次第では困難だろう。巻く場合はボロボロのルンゼを降下する羽目になってリスキーだ。楯ヶ谷滝の処理は少し戻って左岸巻きをチョイスしたが巻き過ぎてしまい変な方向に行ってしまった。このルート取りについてはリベンジの課題である。
下 山
【★★★☆☆(難あり)】 今回のルート取りだとアプローチと同様にコケ谷付近の岩壁処理がネックとなる。楯ヶ滝の巻きから尾根を登りつめてしまえばコケ谷右岸の尾根が使えそうな気はするがまだ未確認だ。
装 備
一般遡行装備必携、ロープも持参した。
お勧め度
★★★☆☆
参加人数
2人
所要時間
約4時間
天候
晴れのち曇り
遡行日時
2014/12/28
地形図
伏拝
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:十津川温泉庵の湯(400円) 《その他》:帰路『出谷温泉つるつるの湯』に寄ろうとしたが数年前の水害で流されて以来閉めているとの事、管理者の方も亡くなったそうで当面の再開は望めそうもない。


【ずっと気になっていた秘瀑へ】 

雲取温泉を後にした我々は夕食を思案すべく新宮へと向う。
とは言うものの寒空の夜に野外でがっつり調理する根性は無い。
そこで宴会パートの食材は調達するとしてメインの食事は店で食べる事にした。

宴会食は南紀名物さんま寿司にチーズにポテチ、ちょっと買いすぎたか?(^^;。
そしてメイン食、ネットで見つけた海鮮料理の『勝又』さんってお店に行く。
これが大当りで珍しい『海豚の刺身』や『鮪のハラミ焼き定食』を堪能した。
ただ宴会食の多さを懸念してかなり控えめに注文してしまったから次行く時は勝又さんでお腹一杯にしたい。



絶品、海豚の刺身!

幕営は毎度の『道の駅熊野川』、睡眠時間は十分だったが朝方はかなり冷えた。
この冷え性な身体、何とかならんのか・・・(^^;。

今日の目的地は熊野川楯ヶ谷。
殆ど聞かない名やけど国道168号沿い十津川第二発電所付近にある岩壁群を目にした人も多いのではないだろうか?。
その岩壁群に割って入るのが楯ヶ谷である。

ほぼ情報の無い谷なんでgoogleアースやストリートビューで地形や位置関係は確認していたがさてどうなる事やら・・・。
まあ距離は短いので遅い目の出発、相須集落を奥まで進んで道が終わる広場に駐車する。



道の終点に駐車して遡行開始

【相須集落奥の駐車地(9:30)⇒楯ヶ谷出合い(10:30)】 



まずは本流沿いを進む、楯ヶ谷の岩壁群が遠望できる。

熊野川本流沿のゴーロを伝うが谷へのアプローチが困難なのはコケ谷付近の岩壁が直接流れに落ちているからだ。
距離的には10m程なんだけどスタンスは少なくやはり躊躇してしまう。
泳げば最短かもしれないが夏でも水量次第では困難だしこの時期は絶対浸かりたくない。
そんな訳でまずは巻きルートも模索する事になった。

コケ谷の右岸から斜面に取り付けば古い石垣があって昔は人の往来があったようだ
まらもしかしたら巻き道や仕事道があるかもしれない。
50mくらい登ったら予想通り道型が出てきた。
これで行けるか?と思うも先のルンゼが崩落していて渡るのはは厳しい感じ。
これも水害の影響だと思うが自然のパワーにはほんと驚愕させられる。

そこで仕方なくルンゼを降下するも全面ボロボロでいつ崩れるかは運次第。
何とか本流に戻ったが正直もうこんなリスクは御免である。
そこから楯ヶ谷出合いまではすぐ、ふうやっと着いた・・・。



ボロボロのルンゼは危険な香り満載

【楯ヶ谷出合い(10:30)⇒楯ヶ谷滝(10:50)】 



ようやく楯ヶ谷出合いに到着だ

ようやく辿り着いた楯ヶ谷、国道から僅か300m程の距離なんだけどこんなに苦労するとは(汗)。
谷は岩間滝とナメが続く感じだがここで面白い事に気が付いた。
右岸の壁や転石は南紀特有の火成岩なんだけど川床は真っ黒い粘板岩なのだ。
後で調べたらこの辺りは珪長質火山岩と堆積岩の境界で地質が複雑なようである。



壁は火成岩、床は粘板岩の不思議な地質

岩間の小滝群を縫って行くと前方には大岩壁、これが国道から見えていた壁だろう。
そして、その基部で谷は左折して大滝が落ちる。
落差は約20M、末広がりでどことなく気品のある美しい滝だ。
これがずっと見たかった『楯ヶ谷滝』に間違いない。

周囲は深山幽谷の気配で静かに流れ落ちる水音が心に染み渡る。
国道から僅かな距離なのにこんな絶景空間があったと思えばなんだか嬉しくなってきた。
しばしの滝見タイムを楽しもう。



ずっと見たかった楯ヶ谷滝

【楯ヶ谷滝(10:50)⇒相須集落奥の駐車地(13:15)】 

さてこれからどうするか、事前の情報でこの滝の突破に関する資料は見つけられなかった。
直登は厳しい感じだし巻くとしても地形的にかなり複雑な臭いがする。
とりあえず少し戻った左岸のルンゼから壁の基部に沿って登って行くがなかなか弱点が見つからない。

コンタで100m近く登ってようやく薄くなった壁にロープを出して1ピッチ。
登りついた地点は藪が酷く面倒な感じ、しかも谷はだいぶ下やし・・・(^^;。
もうちょい押すかとも考えたが藪の強行が億劫になって結局戻る事にした。



藪への突入が億劫で結局戻る事に・・・

これで今日はもう終わった感じ、さあ帰ろう・・・。
ん?、このまま帰るとなるとコケ谷付近のあの壁はどうしよう・・・(^^;。
あのルンゼをまた登るのは嫌やしやっぱり本流沿いのトラバースか?、
まあ最悪落ちても泳ぐ羽目になっても後は車に戻るだけやし・・・。

そんな感じで例の場所まで戻って来たがラビオ君は相当ブルーになっていて口も利いてくれない。
目を合わすと「やっぱりルンゼにしよか」言ってしまいそうなんでここは間髪入れずに取り付いた。
結果としては中間部分で一箇所微妙だったがトラバース成功。

そしてラビオ君、何度も挫折しそうになりながらも何とか無事に超えてきた。
でもそうとう怖かったらしく涙を浮かべて放心状態になってる。
せやけどほんとよく頑張ってくれたわ!。
今回は苦い経験やったかもしれないがいつかきっと自信に繋がるはずやで!。



行きも怖いが帰りも怖い、本流沿いのトラバース

あとはあっと言う間で戻り着く。
着替えて車に乗り込んだら途端に雨が降って来た。
なかなか絶妙のタイミングやったネ(^_-)v。

【絶対リベンジするから待ってろよ!】

今回は色々と右往左往してしまい結局敗退となってしまった。
敗因としてはgoogleアースとストリートビューでの情報を過信してしまい現場での地形把握を怠ってしまった事だ。
もっと実際に見た地形と地形図を照らし合わせて目と直感でルートを決めるべきであった。

楯ヶ谷よ、近いうちにまたリベンジしに来るから待ってろよ!。

最後は庵の湯で暖まっての帰阪となった。
今回は敗退したけどご一緒してくれたラビオ君と山々に感謝。



遡行図




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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