クライマックスは突然に、備後川ナル谷遡行。

渓谷の名称
ナル谷
山域(ピーク)
台高
渓谷の概要
いつも思う事だが古川から備後川流域に行くと標高の割りに谷が深く至るところに岩壁が聳え立っているのに驚かされる。備後川のナル谷はそんな中でも最も剣谷な部類の一つであろう。特に林道からも俯瞰できる大滝は圧巻の迫力だ。それ以外にも中流域に深いゴルジュを内包しており遡行する者を飽きさせる事はない。技術的には大滝の登攀が核心となるが是非一度は訪れてもらいたい秀渓と言える。
コースタイム
【林道駐車地点】 7:40
【ナル谷大滝下】 7:55
【ナル谷大滝上】 10:10
【ゴルジュ入り口】 11:20
【Co620m二股】 13:00
【林道駐車地点】 14:50
ポイント
【★★★☆☆(沢3級+)】 初っ端の大滝とゴルジュの突破が核心、大滝は全4ピッチとおまけで10mくらい、流れの左手から取り付いてバンドを斜上、ブッシュ帯に入っても気が抜けない箇所がある。上部は傾斜も緩んで最後は素晴らしい高度感の中、落ち口直下の数メートルを登り切る。ゴルジュ内、有名?な流木の刺さる5M滝は流木から這い上がって直登すれば比較的簡単だ。続く7M滝は左手クラックが絶妙で面白い。最後に出てくるハング気味の6M滝は左岸から巻ける。
下 山
【★☆☆☆☆(林道)】 二股を登り詰めればやがて林道に出る。距離はややあるが後は林道を楽々下山。
装 備
一般遡行装備必携、ロープ(8.1mm×50m)、カム(各サイズ)、ハーケン、ハンマー、アブミも持参したが使用せず。
お勧め度
★★★★★
参加人数
2人
所要時間
約7時間
天候
快晴
遡行日時
2014/09/14
地形図
高代山
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:悪い 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:なし 《その他》:ナル滝が見える場所から少し進んだ路肩に駐車、備後川林道は一部荒れているが概ね舗装で林道としては比較的走りやすい。


【とある集会にて・・・】 

沢の集会で次の週末天気良さそうだし「どっか行きましょ」って話をして挙がったのが備後川のナル谷。

言いだしっぺは自分なんやけど先々週にめっちゃ遅い沢始めをして今年まだ2本目の遡行、
備後のナル谷と言えば門前に60Mの大滝を従えた界隈でも屈指な剣谷の一つである。

言ったはものの「イキナリこんな谷行ってええんやろか」ってビビッたけどヒロッチさんは「ええですねー」とキラキラな眼差しで微笑んでしる。
「こりゃもう行くしかありませんな・・・(^^;」。

てな訳で前夜迎えに来てもらい備後川沿いの幕営地点には23時過ぎ、ちょっと宴して就寝となった。

翌朝目覚ましは6時だったが5時半頃にカラスの鳴き声に起こされる。
テントのすぐ側で騒ぎやがって、都会やったら安眠妨害で訴えられるで・・・。

【林道駐車地点(7:40)⇒ナル谷大滝下(7:55)⇒ナル谷大滝上(10:10)】 

そんなこんなでナル谷大滝が俯瞰できる場所から少し進んだ路肩に駐車、
準備を整えて傾斜の緩そうな斜面を適当に降りれば滝前に到着。



傾斜の緩そうな場所を選びながら適当に下って大滝の眼前へ

間近で見る大滝は水量もあってめちゃめちゃ立派、イキナリのクライマックスに武者震いが来る。
しかし周囲は全部壁やしどこから行っても難儀するんは必至やろう。

ルートを模索してみれば滝身の左手から10mほど直上すれば斜上するバンドが樹林帯へと伸びている。
これやな、と言うかこれ以外は殆ど垂直で手が出そうにない。
登攀具を身に付けてアタック開始!。



聳え立つ大滝、記録では高さ60Mとあるけど高度計では70M出てた



左手から取り付き斜上するバンドを樹林帯へ向う

○1P/30m(ヒロッチさん)、出だしは順調だったが斜上バンドの手前が若干悪そう。
私はセカンドだが乾いててもツルツル滑る岩質でリードやとめっちゃ怖かったんじゃないだろうか。
斜上バンドに入るとホールド豊富になるが樹林帯に入る手前が気持ち悪い、
トラバース系の斜上はセカンドの事を考えて振られ止め必須になるけど適所にカムを効かせた理想的な登攀だったと思う。
流石ヒロッチさんナイスクライミングやわ!。

○2P/10m(私)、樹林帯のテラスから更に上の立ち木を目指して高度を稼ぐがボロボロのブッシュで乗り込みが怖いところ。
何とかお目当ての立ち木に辿り着いたがその上は垂壁で直上は厳しそうだ。
少し左手にやや傾斜の緩い部分があるので狙うならソコしかないだろう。
ただこのまま突っ込んだらロープの流れが確実に悪くなるので一旦ピッチを切る。

○3P/20m(私)、2Pが短い距離だったので引き続き私が行く、
しかしいざ取り付いてみるとまともなプロテクションが無い上に外傾したスタンスばかりでめっちゃ怖い、
6メートルほど先にしっかりした立ち木があるんだけどそこまでが絶望的に遠く感じる。
それでもジリジリと高度上げて気休めにハーケンを打ち心を落ち着かせて安全圏に辿り着いたら喉カラカラやった。
あー怖かった(^^;。

○4P/45m(ヒロッチさん)、ここからは幾分傾斜が落ちて立ち木も豊富にある。
一気に落ち口を狙うのかと思っていたけど50mロープ一杯に伸ばしてもあと少しのとこで届かず。
ヒロッチさん残念そう。

○おまけ/10m(私)、「せっかくだしヒロッチさんこのまま落ち口一番乗りでどうぞ」って言うも「亀さんに譲ります」と謙虚なヒロッチさん。
結局私が直下数メートルだけを登って美味しいところをいただいてしまいました。
スイマセン&ごっつあんです。



1Pをリードするヒロッチさん、バンドに出る手前がツルツルで怖い

ナル谷の大滝は色んな記録で落差60Mとあるが高度計見てみると70Mを計測してる。
それも登攀開始のビレイ地点からなんで実際の落差はもっとあるのかもしれない。
いずれにしても古川の隠れ滝や千尋滝と並んで台高南部を代表する名瀑に違いないだろう。



落ち口手前は素晴らしい高度感

【ナル谷大滝上(10:10)⇒ゴルジュ入り口(11:20)】 

大滝の上には末広がりの30M美瀑。
すぐ後ろはスッパリ切れた落ち口と対岸の山並み、ここはまるで天空のテラスと呼べる場所だ。
大滝を突破した者だけが見れる絶景だけに感動もヒトシオやね!。
この滝は左岸尾根にはっきりした踏み跡があって簡単に巻き上がる。



30M美瀑、大滝を突破した者だけが見れる天空の絶景だ

続く逆くの字10M斜瀑は中間の水線を跨いで越える。
更に幾つかの小滝が連続するがどれも突破に問題はないだろう。



逆くの字10M斜瀑は楽しく直登

二股を左に取れば穏やかな流れになって左岸に立派な石垣が見える。
昔の人達はこんな急峻な地形のある場所にまで進出していたようだ。
今よりも重機もライフラインも発達していない時代、先人達の苦労は大変なものだったに違いない。



出合いの急峻さが嘘のように穏やかな流れが続く

ナル谷の語源であろうけっこう長い平流があってようやくと言った感じで多段の30M滝が登場。
ここは右岸が植林だしホールドになる木の根も多く簡単に巻ける。



多段30M滝、右岸を巻くが簡単

滝上は美しいナメ床だが前方に目をやると景色が一変してる。
暗く狭い空間、そうナル谷もう一つのクライマックス、ゴルジュ様の登場だ。

【ゴルジュ入り口(11:20)⇒Co620m二股(13:00)】 

谷は右折して袋小路の奥にCS6M滝が見える。
空は快晴だがここに太陽光は届かずまるで深海に沈んで行くような感覚だ。
こんな陰惨とも呼べる風景、しかしゴルジュの中にいると何故か妙な哀愁と言うか高揚を覚えるのは私だけだろうか?。



初っ端のCS6M滝、左手リッジを越える

まず初っ端のCS6Mは左手のリッジを越えるが見た目よりも簡単。
続いて流木の刺さる5M滝、事前の情報だとここが核心のようだ。
ルートとして考えられるのは左手側壁のバンドを斜上するか釜を泳いで流木伝いに直登するか。

どうするか相談しているとヒロッチさんの足場が突然崩れて釜にドボン、
「あーやってもうた」「そのまま泳いで流木で行きますー」
てな訳で流木⇒直登コースに決定。

流木は立って歩くには微妙な傾斜だが適度にホールドがあって這い上がれた。
おそらく側壁コースよりも断然簡単ではないだろうか?。



5M滝は流木⇒直登コースに決定

まだまだ廊下は続いて深淵に落ちる7M滝、
ここもヒロッチさんがロープを引いて左手クラックを直登。
この滝はフリクションも効いて快適なラインを楽しめた。



7M滝、左手クラックを基点に取り付く楽しいライン

その先もうちょい滝が続くけど適当に越えていける。
被り気味の6M滝、あっ取り付きの木が折れたってやつはコレか!?
左岸を巻く、ルンゼを渡るとこがちょっと微妙やけどピッタリ落ち口に出た。



被り気味6M滝、支点になりそうな木が折れている

【Co620m二股(13:00)⇒林道駐車地点(14:50)】 

Co620mの二股は林道へ最短な右俣チョイス。
5Mくらいの滝が続いくけど全部簡単に登って行ける。
ザレた斜面になるとあっけなく林道に出た。



最後はあっけなく林道に出た

充実の遡行に気分も天気も青空が広がる。
山並みに目を向けると遠くでバルーンみたいなモノが引っかかってた。
なんやろあれ?、何かの調査用気球とかかな?、気になるなぁ・・・。
そんな話をしながらひたすら林道を下れば1時間ちょいで備後川林道に辿り着いた。



遡行も天気も大満足、斜面に何か引っかかってるんやけど写真じゃ小さくて見えませんね(^^;

「いやーおもろい谷やったなぁ」
「ビンゴやったね。備後だけに」
「・・・」

「さっ、帰りましょか」

【クライマックスは突然に】 

今年2本目で早くもクライマックス的な遡行になってしまったが本当に充実した一日であった。
15時前には車に戻っていたので時間的にも上出来な部類だろう。
これはたぶん5M滝を流木伝いに行った事による時間短縮が大きいと思う。
「なんや右岸バンドを飛ばしたんや」と言われればそれまでだが、
「出来るだけ水線の近くを出来るだけシンプルに行く」、
遡行本来の目的を考えれば現状では一番理にかなったルートだったんじゃないだろうか。

そして久しぶりに喉がカラカラになる程の緊張感と達成感。
まだ体力不足でもたもたしてる私を気遣い悪い箇所を進んで行ってくれたヒロッチさんにはほんと感謝です。

でもやっぱり沢は楽しいわ。
もう今シーズンも終盤やけどまだもうちょい沢に行きたいね!。



遡行図




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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