海から谷へ、川浦に劣らぬ松谷洞。

渓谷の名称
松谷洞
山域(ピーク)
奥美濃
渓谷の概要
県道52号でタラガトンネルを見送って北に進んだ松谷集落で西から流れ込んでいる谷が松谷洞である。地形図で確認してみるとP1062.8mとサンノーの高(P1106.5m)辺りの広い範囲から水を集め中流域で一気に落ち込む渓相が見て取れる。実際その区間は巨瀑とゴルジュが連続して素晴らしいの一言だ。板取川と言えば川浦谷界隈が有名だがそれらにも決して劣らない至極の谷だと言えるだろう。
コースタイム
【松谷浄水場】 9:00
【10M美瀑下】 10:50
【松谷大滝下】 12:10
【二俣】 13:30
【遡行打ち切り点(左俣Co660m付近)】 15:00
【松谷浄水場】 17:00
ポイント
【★★★☆☆(沢3級+)】 松谷浄水場横に駐車して入渓、最初は平凡だが滝が出だすと俄然面白くなる。連続する滝群は登れる滝も多いが10Mから20M級の滝もあるのでしっかりした登攀技術が必要だ。松谷大滝は左岸から巻くが悪い、左俣に入ってからも廊下が発達しており抜けの逆くの字20M(空滝)は一見登れそうに見えないが釜を泳いで正面壁のバンドに取り付き絶妙の直上トラバースで乗り切った。松谷大滝を中心とした中流域の渓相は圧巻で豪快で充実した遡行を約束してくれる。
下 山
【★★★☆☆(激悪仙道)】 正直なところ下山は最悪の部類だ。左俣ゴルジュを抜けた辺り(Co660m付近)から右岸の斜面を50m程登れば仙道(テープ類あり)に出る。後はそれを伝うも踏み跡が薄い上に至るところで崩れている。下を見れば絶壁でちょっとスリップでもすればあっさりあの世へ連れて行ってくれるだろう。道は松谷大滝の下流辺りで右岸から左岸に転じてそれからはだいぶしっかりして入渓点へ導いてくれるが、時間に余裕があるなら谷中下降や右俣から松根谷下降ルートを模索するのも一考かもしれない。
装 備
一般遡行装備必携、ロープ(8.1mm×50m)、補助ロープ(8mm×10m)、カム類各自適数、ハーケン各自適数、ナッツ類各自適数、ハンマー各自。
お勧め度
★★★★☆
参加人数
3人
所要時間
約8時間
天候
曇り一時雨
遡行日時
2013/07/14
地形図
上ヶ瀬
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:悪い 《ヒル情報》:生息 《温泉》:なし 《その他》:下山道にヒル絶賛生息中。


【海から谷へ転進】 

梅雨明けして夏本番、夏と言えばやっぱり青い空と広い海ですね。
とは言うものの私らの行く海は青い空は全く見えない仄暗い海の底、そう去年まったく手が出なかった川浦の海ノ溝谷だ。

さあ「一年ぶりに泳ぎまくるぞ」と意気揚々乗り込むが前日前夜の雨でまたも増水の笹濁り・・・。
昨年の写真と水量比較してみると今日の方が若干少ない気はするけどやっぱり敗退濃厚な気配がぷんぷんします。
激流でも突っ込みたい特攻隊長をなだめて代案の松谷洞に転進する事になった。



橋の上から見下ろす海は増水の笹濁り・・・

今回の面子は抜群の判断力を見せるひろっちリーダーを先頭に登攀お任せのまんま特攻隊長、そして殆ど特徴のない平凡な私。
県道52号を松谷まで戻り松谷浄水場の脇に駐車、集落内の路駐なんで住民の方に一声掛けておく。

【松谷浄水場(9:00)⇒12M美瀑下(10:50)】 

出発は9時、谷沿いを暫く歩いて小さい取水堰堤から入渓、次の堰堤は右岸を巻く。



取水堰堤のところから入渓

最初の滝はV字状10M、階段状で簡単だけどこの谷は全体的にフリクションが悪く慎重に登る。
続く幅広6M滝も簡単だ。


最初滝はV字状10M 階段状を慎重に登る

ちょっとゴーロがあって次の廊下、門前の3M滝は特攻隊長は釜を泳ぎリーダーと私は左手から手足ツッパリで抜けるがなかなかバランシーだった。



3M滝は手足つっぱりの体勢になるまでがバランシーで面白い

続いての10M滝は右手のガシャガシャした壁を登るが見た目よりも悪い、ここは私のリードで登らせてもらう。



一見簡単そうな右手の壁を登るがコイツ意外と悪いぞ・・・

【12M美瀑下(10:50)⇒松谷大滝下(12:10)】 

少しゴーロがあって前方に前方には大釜と12M滝、釜は巨大で滝も美しい、うん、べっぴんさん滝やね。
ここは流芯の左手が弱点で、まんま特攻隊長がリード突破。上部で流れに寄る一歩が滑る感じで気持ち悪かった。



美しい大釜12M滝、流芯の左手を直登!

7M滝を越えると谷の傾斜は増して巨岩帯に突入、大岩を右へ左へと交わして行くがパズルを解くような感覚で面白い。


7M滝も直登で行きまっせー 巨岩帯はルート読みが面白いね

【松谷大滝下(12:10)⇒二俣(13:30)】 

5M滝は簡単に登る。左岸に赤ペンキの矢印が見えて地形図の破線道はどうやらこの辺りで交差してるみたいやね。

そして前方には大滝、たぶんこれが松谷大滝だろう。落差は2段で25Mくらい、荒々しい岩壁が威圧的でさしずめ剛力滝と言った感じだろうか。
さて突破はどうしたものか・・・、記録の記憶を追うと右岸巻きをしている場合が多いようだがそれだと大巻きになってしまう。
ここはなんとか左岸から巻きたいものだ。

いざ左岸に取りついてみると壁は立っているが何とか登っていけそうだ。
しかしこの巻きは立ち木が頼りなんやけど植生が弱いと言うか細い目の枝とか簡単に抜けてしまう。
私は何度かすっぽ抜けを食らってちょっとビビッてしまいリーダーにロープを懇願する始末だった(^^;。


5M滝は右手の階段を容易に登る 出ました!松谷大滝25M

でもその苦労の甲斐あってか巻きは落ち口ドンピシャ!。



松谷大滝の左岸巻きは苦労の甲斐あってか落ち口ドンピシャだった

ここからが凄い、7M滝は左手から登るも抜けがツルツルで右から直登してた特攻隊長に助けてもらう。
そしてこの谷の圧巻、凄い廊下の奥に凄い滝が見えた。
釜も深淵で神秘的だし幾筋もの流線が優美に絡み合って女優に例えるなら彩芽さんクラスに魅力的な滝だろう。


7M滝は抜けがツルツル 廊下18M滝は彩芽さんクラスに魅力ある滝や!

この滝は到底登れそうもないが、特攻隊長が様子を見るとか言って泳いで行く、
私らは鼻から諦めて右岸巻き、うまい具合にバンドがあって簡単だった。
滝上はすぐに二俣で水量比は2:1くらいかな!?、どうやら左俣が本流のようである。

当初の予定ではコンタの詰まっている右俣を狙ってたけど既に13時30分、先の読めない谷だし下山まで想定すると時間がヤバイ、
名残惜しいが今回は左俣へと進んだ。

【二俣(13:30)⇒遡行打ち切り点(15:00)】 



左俣に入ってすぐの2段15M滝、左岸のブッシュから巻く

左俣に入るとすぐに2段15M滝、なかなか豪快な滝だ。
両岸は同じくらい壁が立ってるしどっちから巻こうか思案する。左岸の方が若干小さく巻けそうか・・・、
特攻隊長は「これ登れそうやで」とか言ってるけど却下して左岸のブッシュに取り付いた。

予想通りすぐに壁に阻まれたけど右手に回り込むと支流の10M滝が見える。
そこから折り返して滝上を目指すと途中に橋の残骸があった。どうやら昔は道があったようだ。
て事はたぶんこのルート取りで間違い無いだろう。
私は登りすぎて石楠花の藪に突っ込んでしまったがリーダーと特攻隊長が微かなバンドを発見して見事落ち口上へと導いてくれた。

地形図的にはそろそろ終わりかな?と思っていたがまだ廊下が続いて深い瀞の向こうに逆くの字滝が見える。
帰宅してから調べてみるとこの滝は『空滝』と言うらしい、斜瀑気味だが全体での高さは20M弱くらいだろうか!?。
ここも彩芽さん滝に劣らず神秘的な場所だ。

釜の手前からだと滝の全容が掴めないのでリーダーが瀞を泳いで接近、すると正面の壁に斜上するバンドがあって中間までは何とか登れるとの事。
特攻隊長も続き、最後に私も泳いだが釜の右岸から湧水が流れ込んでいて水が冷たいのなんの(^^;。

中間まではうまい具合に登れたが、そこから上段への回り込みがツルツルで悪そうだ。
リーダーは戻っての巻きを思案していたみたいだが特攻隊長が「ここは行かせて欲しい」との言うので行ってもらう。
カムとハーケンでガチガチの支点をセット、順調にロープを伸ばしてあっと言う間に登りきってしまった。流石やわ!!。

私はタイブロックで行かせてもらうが最初の一歩をキャンパ気味にこなせば後は快適だった。
そしてラストのリーダーも余裕しゃくしゃくで登ってきた。
しかし普通の沢屋ならたぶん行かないだろうラインを「行ける」と見極めて突破してしまうまんま特攻隊長はやっぱ凄いわ。


空滝20M、釜を泳がないと全容は見えない 正面のバンドから直登で攻略

空滝を越えると今までの渓相が一変、両岸の傾斜も穏やかになった。
少し進んだが何もなさそうだし時間も15時を過ぎていたのでこの辺りが潮時やね。
右岸斜面を適当に50mほど登ると仙道(地形図の破線道)に出た。

【遡行打ち切り点(15:00)⇒松谷浄水場(17:00)】 

さあ後はこの破線道で快適下山と思いきやこの道は至るところで崩れている。
腐ったボロボロの橋を渡らされたり崖上で靴先だけのトラバースをさせられたり気を抜くとあっと言う間に死ねる道だ。
テープやトラテープが設置してあるので今でも利用する人がいるみたいだがココを普通に歩ける人ってどんな猛者やねん・・・。
道は大滝の下で右岸から左岸に移り、そこからは普通の登山道、無難に入渓点へと辿り着いた。



「おつかれさま」、ほんま疲れたと言うか怖かった・・・

【川浦に劣らぬ素晴らしい谷でした】 

下山後、堰堤付近で沢装備を解いているとヒル君が顔を出した。先頭のリーダーは0匹、ラストの私は3匹、
しかし2番目の特攻隊長はウヨウヨいるみたいで「先頭にはヒルは付かない」ってのはやっぱ本当みたいやわ(^^;。

それにしても松谷洞はめっちゃ面白かったです。
奥美濃と言えば川浦があまりにも有名でその影に隠れた感じですが川浦にも劣らない素晴らしい谷だと思う。
ただあの下山は二度と御免やねぇ、右俣も楽しそうやし次行くなら他の下山方法を考える必要ありそうや。

元々海ノ溝の代案で事前情報を殆ど持ってなかったんやけど調べてみると水線沿いに突破してる報告ってあまり無いですね。
今回ほぼ水線近くを遡行できたのはリーダーと特攻隊長のお陰ですわ。

ご一緒してくれたお二人と奥美濃の山々に感謝、サイコーの一日をありがとー!。



遡行図




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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