豪快な本流遡行に酔う宮川父ヶ谷。

渓谷の名称
父ヶ谷
山域(ピーク)
台高
渓谷の概要
台高山脈の東部、国見山から鰔谷高にかけて水を集めて宮川貯水池へと流れ込む父ヶ谷は大杉谷や大和谷と並んで宮川流域の名渓の一つに数えられる。規模や悪さにおいても両谷に匹敵するものがあり、豊かな水流と両岸の懸崖を仰ぎ見ながらの豪快遡行が満喫できる。
コースタイム
【ガガ谷右岸駐車地】 07:25(ガガ谷右岸尾根から土砂に埋まる谷へ下る)
【鎌滝下】 08:35(鎌滝下の巨岩群はルート取りがポイント)
【クグリ】 10:15(右岸を巻けば林道に出るがここは泳ぎで勝負)
【一ノ壷下】 11:20(三ノ壷のへつりは手強い)
【牛鬼淵】 12:25/13:00(牛鬼淵を越えると二俣はすぐ)
【二俣】 13:25(南谷へ入り堰堤上から林道に上がる)
【ガガ谷右岸駐車地】 15:00(林道歩きの快適下山)
ポイント
【★★★☆☆(沢3級)】 まず鎌滝下の巨岩群が問題、読みを間違うと行き詰ってしまうのでルートファインディング能力が問われるところ。鎌滝は右岸ルンゼからの容易な巻き。2条7M滝はロープを出して左手スラブをへつるが滑りやすいので注意が必要だ。牛鬼淵の廊下に入って一ノ壷は左岸の容易巻き、二ノ壷は流身の右手を直登、三ノ壷はつるつるの斜瀑で手が出ずロープを出して右手の斜上クラックをへつるがホールドスタンス共に細かくこの谷の核心部となった。牛鬼渕の左岸を巻いて懸垂下降で谷へと戻れば北谷と南谷の二俣はすぐそこだ。見所は豪快な渓相と両岸にそそり立つ岩壁群。
下 山
【★☆☆☆☆(林道)】 二俣から丸渕を泳いで南谷に入り堰堤上からゴミの散乱する右岸斜面を登って林道へと上がる。後は林道をのんびり1時間。
装 備
一般遡行装備必携、ロープも必携、林道が近くカット&トライでレベルに応じた遡行が可能だが正面突破を狙うなら登攀装備もあった方が安心出来る。
お勧め度
★★★☆☆
参加人数
2人
所要時間
約7時間半
天候
曇りのち晴れ
遡行日時
2011/08/28
地形図
宮川貯水池
写真室
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:あきのの湯(700円) 《その他》:2011年8月現在、父ヶ谷林道はナゴ山谷付近まで車両での通行が可能。


【久々の台高沢へ】 前年、クラの宴でHさんと「来年沢に行きましょう」との話になった。しかし実際に話が動いたのは今年の8月に入ってからになった。決行日は8月の最終週、場所は私の行った事の無い谷からチョイスしても良いと言ってくださり台高宮川流域の『父ヶ谷』に決まった。

前夜、Hさんに自宅付近まで迎えに来てもらい幕営予定の宮川沿い犂谷出合いを目指す。以前はめっちゃ遠く感じたこの地域も南阪奈からの大宇陀に入るルートを使えば2時間半で着いてしまう。これなら全然日帰り範囲だろう。暫し宴に花を咲かせて就寝となった。

朝、犂谷出合いを出たのが7時前、宮川貯水池に架かる新大杉橋を渡って父ヶ谷林道へと進む、情報ではガガ谷右岸尾根には踏み跡があって容易に谷へと下れるとの話、そんな訳でガガ谷が望まれる付近の路肩を駐車地点とした。

【ガガ谷右岸駐車地(7:25)⇒鎌滝下(8:35)】 駐車地点すぐ側の尾根状に踏み跡を見つけて下降開始、それほど傾斜も無く比較的しっかりした踏み跡を歩き最後はガレガレの泥斜面を下って父ヶ谷へと降り立った。そこは湖面が切れてすぐの泥泥堆積地帯、湖水の状況によってはガガ谷側へのトラバースを要求される場合もありそうだ。

今日は幸い湖水も無く土砂に埋まる河原を淡々と進む。やがて前方にーが立ってくると巨岩の埋まる渓相へと変わり遡行気分の高まって行く自分が判る。Hさんとの遡行は今回が初めてとなるが以前は有名な沢の会にも在籍していたそうだし、最近は縦走から沢まで何でもこなすオールラウンダー、更にボルダーも2Dをゲットしてはるので全く心配は無い、って言うか私の方が足手まといにならないよう頑張りますんでよろしくお願いいたします(^^;。


土砂の堆積する谷を進む やがて巨岩の先に鎌滝が登場

さて話は戻って巨大な岩達はあまりにも大きく抜けるのに右往左往、前方に鎌滝の勇姿が見えても中々進まない、岩群は概ね左岸側が巻きやすいが鎌滝直下の7M滝は高度感のある乗り越しがあって注意が必要だ。この辺りはルートファインディング能力が問われるのでもっと他に楽なルートがあるかもしれないが・・・。

【鎌滝下(8:35)⇒クグリ(10:15)】 やっと辿り着いた鎌滝直下、段瀑なので高度感には乏しいが流石は本流滝だけあって豪壮な感じが素晴らしい、やっぱ見に来て良かったよ!。鎌滝は右岸のルンゼから容易な巻き、滝上には渕が連続するけど浸かったり巻いたりしながら楽しく通過できる。

しかし2条になった7M滝に行く手を遮られた。両岸共に傾斜が強く思案したが右岸のスラブからトラバースできそうだ。ここはロープを出してHさんがへつり抜ける。悪い箇所は短いが滑りやすいので注意が必要だろう。


豪快な鎌滝、やはり本流滝は凄いネ 7M滝はロープを出して右岸を抜ける

7M滝を抜けるとゴーロの中に時折岩間滝が落ちる明るい渓相になる。カット&トライで適当に遊びながら進む。釜ヶ谷の出合いを過ぎ左岸に崩壊斜面を見て大岩が目立ってくると渕が多くなり岩と壁に挟まれたプチ行合い状で行き詰まる。これが『クグリ』と呼ばれる場所だろうか!?、中には大渕と3M滝があって一見難しそうな気配が・・・。

【クグリ(10:15)⇒一ノ壷下(11:20)】 資料によれば「クグリは右岸を巻いたら林道に出てしまった」と書いてあるが今回は出来るだけ水線付近を進みたい、「まあアカンかったら戻ればいいやん」って感じで渕を泳いで瀑流の中に突っ込むが3M滝の直登はちょっとヤバそうだ。「うーんアカンか?」って思ったところにHさんが岩の隙間を見つけて文字通りその合間を潜り抜けた。


クグリは岩の隙間から滝上へ 明るい谷に美しい岩間滝が点在

クグリの上で休憩、見上げれば朽ちた木橋が見えた。更に進んで大岩に挟まれた5M滝は釜を泳げば容易に越せる。そこからはまたゴーロで淡々とした遡行が続く、やがて左岸から嘉兵衛山谷が滝となって合流する地点から廊下状になるが中は平凡、ちょっと拍子抜けしたところ突然に大釜を持った8M滝が現れた。

【一ノ壷下(11:20)⇒牛鬼淵(12:25/13:00)⇒二俣(13:25)】 深く刻まれた空間に深淵の碧が美しい、これが一ノ壷であろう。一ノ壷は左岸から巻き登るが傾斜も緩く踏み跡や残置ロープもあって容易な巻き、滝上に出てガレた斜面を降りれば丸い渕の向こうに優美な斜瀑、二ノ壷10Mの美しさに思わず「おおっ!」っと声が出る。この絶景とも呼べる空間、ほんと地球の作った芸術作品だと思う。


深い釜を従えた一ノ壷 二ノ壷付近の美しさは芸術的

二ノ壷は流れの右手を直登する。一見のっぺりしてて難しそうだが登ってみると適度にホールドがあって楽しい登り、その上で一気に狭まった谷を3M滝が塞ぐ、これが三ノ壷だろうか?、この滝は落差は小さいながらツルツルスラブの中を谷幅一杯に流れており取り付けそうで取り付けない(^^;、見回すと右手に斜上するクラックが見える。ここなら行けそうか!?、ここはロープを出してトライするもクラックは浅くてプロテクションの効きも悪い、抜けの一歩はスタンスが無く緊張したがフリクションを効かせて何とかへつり抜けた。


三ノ壷はロープを出してへつるが悪い 牛鬼伝説の残る牛鬼淵10M

谷は一旦広がるがすぐに大釜を持つ10M滝になる。これが牛鬼淵であろう。その昔、喜五兵衛と言う鉄砲名人がこの淵に住む頭は鬼のようで体は牛みたいな悪い化け物を退治したと言う伝説が残る。しかし明るい谷を優雅に落ちるこの滝からおどろおどろしさは微塵も感じられない、どちらかと言えば開放的で天女が水遊びでもしていそうな感じである。

滝を眺めながらゆっくり昼食を取って遡行再開、滝は左岸から笹藪に入っての巻き、少し登ると踏み跡に出るが滝を越えたルンゼの部分が崩れていて微妙な感じ、少し戻って8M程の懸垂下降で谷へと戻った。そこから二俣までは目と鼻の先。


南谷は丸渕と呼ばれる大釜から 3M滝はツルツルでちょっぴり緊張

【二俣(13:25)⇒ガガ谷右岸駐車地(15:00)】 右俣は薄暗いゴーロの北谷、左俣は巨大な釜の奥に3M滝と堰堤が見える南谷、今日はもうお腹一杯気味だったので南谷の堰堤で遡行を打ち切る予定、最後に遊び納めと大釜を泳いで3M滝に取り付くもこれがまたツルツルで微妙(^^;、沢の終わりにちょっぴり緊張させてもらって堰堤上からゴミが散乱する右岸斜面を登って林道へと飛び出した。後は林道をのんびり1時間。


下山は林道をのんびり1時間 目新しい看板、立派すぎる(^^;

【ほんまエエ谷やね!】 久々の本格遡行でしたが、いやーっ、やっぱり沢は楽しいですわ!。今回の話を持ってきてくれたHさんにはホンマ感謝です。ここ近年一緒に行ってくれる人が居なかったりボルダーモードだったりで遡行回数が激減してたんですがまたちょっぴり沢モードになるかな??。

予定よりも早く下山できたので奥香肌で遊んではるYさんの様子でも見に行こうかとも思ったけど、やっぱり疲れてたのでスルー(^^;、あきのの湯で汗を流して帰阪となりました。

ほんま楽しい一日に感謝m(__)m。




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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