豪快な滝群と岩壁に囲まれて来見野谷左俣本谷遡行

渓谷の名称
来見野川左俣本谷
山域(ピーク)
扇ノ山
渓谷の概要
鳥取の兵庫の県境、扇ノ山から南下して八東川へと注ぐ来見野川は豪壮な側壁の中に『諸鹿渓谷』の『諸鹿七滝』と呼ばれる数々の滝群を秘める。その殆どが直瀑で登れないのが残念ではあるが水量も豊富で豪快な遡行を堪能出来る。
コースタイム
【県道103号終点付近(Co510m)】 08:20(駐車付近からすぐ入渓、側壁は豪壮だが中は平凡)
【二俣(Co640m)】 09:55(出合いの滝は右俣20Mの左岸草付きから滝頭へ)
【大鹿滝下】 10:30(右岸から巻くが踏み跡も薄く結構苦しい)
【中の滝下】 12:15(中の滝は左岸から容易な巻き)
【野頭の滝下】 12:55(右岸からの大巻き、中々壁が切れず登山道まで出てしまった)
【地形図(Co855m付近)】 13:10(木橋の袂で遡行終了)
【県道103号終点付近】 15:20(地形図で破線の部分は廃道で歩きづらい)
ポイント
【★★★☆☆(沢3級)】 結論から言うと沢中1級巻き3級と言った感じ。
県道103号終点付近のヘアピンカーブに駐車して入渓、前半は両岸に聳え立つーを見ながらの遡行となるが谷自体は平凡、二俣は左俣15M滝、右俣は幅広20Mで行き止まる。ここは右俣20M滝の左岸草付きを登って滝頭を渡り左俣へと入り直すものだが20M滝の回り込みは高度感がある。

大鹿滝は両岸凄いハングで大迫力。右岸に下りてきた登山道を巡って壁の切れた辺りから折り返すが滝上は凄い廊下で簡単には降りられない。20m以上の懸垂下降で降り立ったルンゼはまだ大鹿滝を巻けていない場所でツルっとやれば一巻の終わり。降りてしまえばゴルジュを突破する以外エスケープは無いので不用意な下降は禁物だ。自信が無いなら決して無理はしない事である。

大鹿滝上の廊下帯と諸鹿七滝の滝群は素晴らしいの一言。
下 山
【★★☆☆☆(一部不明瞭)】 下山はCo855m付近より中国自然歩道から広留の林道へと出てCo710m付近から諸鹿へ下る林道へと進むがこの林道は途中で切れている。地形図には水平に伸びる破線が続いているが、この道は既に廃道で崩壊箇所も多く不明瞭、付近の地形は急峻で道を外すには不安が残る。今回は途切れ途切れの廃道をGPS頼りに下ったがあまり快適とは言えない下山だった。
装 備
一般遡行装備必携、大鹿滝上の廊下に入るなら20mクラスの懸垂下降が出来る装備が必要となる。
お勧め度
★★★☆☆
参加人数
2人
所要時間
約8時間
天候
曇りのち晴れ
遡行日時
2011/09/11
地形図
若桜
写真室
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:無し 《その他》:高速料金はETC割引で1300円/1400円(中国池田⇔山崎)


【初めての山域、扇ノ山へ】 平成23年9月初め、台風12号が日本を縦断、紀伊半島を中心に大きな豪雨災害を引き起こした。道路はあちこちで寸断されているし地域の方々の心情を考えると、とてもじゃないが遊び気分で台高大峰方面には向かえない。

この度の台風で被災された地域の方々にはホントお見舞い申し上げます。

そんな事情もあって今回は山陰の沢、初登場の扇ノ山界隈『来見野川』に決定した。大阪を出たのが朝5時、途中国道29号沿いの日ノ原付近には『万ヶ谷』が滝を懸けて合流しており「沢屋なら見逃さないだろう」と言われていたが完全に見逃した(^^;。やっぱ私達はまだまだなんちゃって沢屋なようである。

若桜集落から県道103号に入り諸鹿を目指すも道沿いの流れは濁りが酷く「遡行は大丈夫やろか?」と不安になる。この道を終点付近まで進んでヘアピンカーブの袂に駐車、準備を整えていると前から軽トラに乗ったオジサンと犬が二匹やってきた。そこで濁りの事について聞いてみると「ワシもそれが気になって見に来たんや」「こないだの台風から濁りが入って取れへん、どっかで崩れてなければ良いけど」「あんたら谷入るなら川の状況見て来てくれへんか?」って話になった(^^;。

【県道103号終点Co510m付近(8:20)⇒二俣(9:55)】 と言う訳で早速遡行開始、ヘアピン付近から伸びる林道を進んで植林斜面から谷へ降りる。濁りは下流よりはマシになっているがまだ笹濁りって感じ、苔の水没具合から水量は普段より数センチ高いか!?って感じだろう。

飛び石の河原を少し進むと赤っぽいナメの向こうに最初の滝、落差は3Mくらいだが釜は深い、Hさんはいきなり浸かってへつり突破、私はまだ濡れたくないので一段上を行く。


ヘアピンカーブの袂に駐車 赤ちゃけたナメと3M滝

やがて両岸にーが立つも谷中は平凡、やや雑然として歩き難いけど遡行にさしたる影響は無い、やがて二俣かと思うような立派なインゼル、ここは右手の4M滝を登る。前方に細流の30M滝を見て谷が右折すると廊下状になって期待するが中には岩間滝と釜があるだけ、しかも○師がいて恐縮しながら先へと進ませてもらう。


インゼルの右手4M滝を登る 細流30M滝を過ぎると廊下状に

しかしそこから谷は一変、いきなり15M滝が豪快に落ちている。ここが二俣なようで15M滝は本流の左俣、右俣は幅広の20M滝が轟音をとどろかせている。どちらかと言うと右俣の方が水量が多く近づくと水煙でメガネが真っ白け(^^;。ここは突破に悩むところだが弱点と言えば右俣20M滝左岸の草付きくらいしかなさそうだ。


左俣本流は15M直瀑を落とす 右俣20M滝の左岸草付きを登る

【二俣(9:55)⇒大鹿滝下(10:30)】 飛沫をあびて草付きを登るとだんだん傾斜が強くなり折り返して落ち口へと向かう、踏み跡はあるがズルズルで高度感もあって注意が必要だ。落ち口からは滝見道に入って右俣へと降りる。右俣に入ると水量も落ち着いて濁りも殆どなくなった。どうやら左俣の方から土砂の流入があるようだ。

数個の小滝を越えて進めば前方いイキナリの飛瀑が出現、高さは25Mくらい、両岸は凄いハングで覆いかぶさっており身震いがする。これがこの谷のハイライト、『大鹿滝』だろう。大鹿滝は滝裏が抉れていて歩いて回れる裏見の滝、暫しこの特異な景観を堪能する。


両岸凄いハングに落ちる大鹿滝 この滝は裏側からも見える裏見滝

【大鹿滝下(10:30)⇒中の滝下(12:15)】 さて大鹿滝、この壁じゃ全く取り付く島がありませんね(^^;、と言う事で右岸に下りて来ている滝見道を少し戻り気味に進んで壁の切れた辺りから折り返して笹藪の斜面に入る。参考にしたガイド本によると「ルンゼを10M懸垂下降」とあるが、それと思われる地点からルンゼを覗けばどう見ても20M以上の懸垂下降、しかもこのルンゼはまだ大鹿滝を巻けていない状態で大ハングの側壁へと消えている。谷の先も見えないし立ち木も無いのでエスケープも容易ではない、通常ならとてもじゃないがこんなリスキーな懸垂下降は出来ないだろう。

「これは嫌な予感がする」、私の一存でもう一段向こうの斜面を見に行くも更に絶望的なな垂壁、その向こうだと廊下帯の全巻きになってしまう感じ、「やっぱあのルンゼしか無いのか!?」、Hさんを見れば「せっかくだし突っ込みたい」「僕が懸垂で降りて偵察する」と言うのでここはお任せにした。

20mロープと30mロープを繋いで意を決してルンゼに降下、それでも中段くらいまでしか降りれない。ズルズル滑るルンゼを振り子で抜けて回り込めば何とか谷床へは降りれるみたいだが、その先は凄い廊下に6M滝あって難渋するかもってって話、取りあえず私もルンゼに降りて状況確認、最悪の登り返しも想定したが何とか抜けれそうだ。

とりあえず6M滝の下で小休止、気持ちを落ち着けてこれからのルートを考えよう。冷静になって良く見ると圧倒的な両岸に流木の刺さる6M滝、その上は幅1mくらいに狭まって樋状滝を走らせている。なんと美しい場所だろう。この景色にさっきの懸垂下降でグダグダだった心が癒されていく。


流木刺さる6M滝は美しい場所 上は斜瀑が走り廊下の真っ只中

6M滝は流れの右手を直登、続く4M斜瀑はフリクションを効かせて登る。その先は幅1mの空間、ステミングで進み5M斜瀑は右手を巻き気味に越えた。これで壁が低くなって核心は抜けた模様、2M滝と4M滝の右手を進んで廊下を抜けた。

で、このルートの総括だが、さっきのルンゼを降下してしまうと廊下を突破するしか脱出方法が無い、この廊下は水量によっては難物になるかもなんで下降する場合はその辺りも含めて判断する必要があるだろう。もちろん20mクラスの懸垂下降が出来るロープも必要だし自信が無ければ無理はしない事である。


5M斜瀑は右手を絡む 4M滝も右手を抜けて廊下を出る

【中の滝下(12:15)⇒野頭の滝(12:55)⇒地形図Co855m付近(13:10)】 穏やかになった谷を進むとすぐに10M滝、『中の滝』と呼ばれる滝だが明るく開放的で今までのような威圧感は無い、ここは左岸からの容易な巻き、その上はまた平凡、美しいナメ床を過ぎると今度は15Mの直瀑、どうやらこの辺りは平流と大滝が交互に来るようだ。15Mの『上の滝』は右岸の壁が切れたところから巻くがこれも容易だった。


中の滝10Mは左岸の容易巻き 上の滝15Mは右岸を巻き登る

そしてまたまた平流、更に12M滝、これが来見野川遡行の取りを飾る『野頭の滝』で側壁がぐるっと回り込んでいて中々壮観な滝である。ここも右岸を巻き進むがなかなか壁が切れずようやく折り返したかな?っと思えば登山道に出てしまった(^^;。Hさんは巻きに失敗した事を悔しがってたけど、まあ失敗も含めて沢ですよね(^_-)。そこから谷に戻るとすぐに木橋が渡りあっけなく遡行終了地。


野頭の滝は右岸を巻くも登山道に(^^; 下山は気持ちの良い高原を行くが・・・

【地形図Co855m付近(13:10)⇒県道103号終点Co510m付近(15:20)】 下山であるが、登り出た登山道(中国自然歩道)をバックしてすぐに林道に出る。そこから気持ちの良い高原状を歩く。広留の集落付近では大根の残骸が大量に残置してある。作り過ぎたのか?。

順調に下ってCo710m付近から左折して諸鹿に下る道へと入った。もう完全にお気楽ハイカーモードだったが地形図の破線部分には・・・道が無い(^^;、斜面は急だし地形図には崖記号もあるのでここで強引に下るのは得策じゃない、どうすんべ?、ザレた斜面を強引に少し進むと一段上に道らしき石積みを発見、しかし長らく歩かれてないようで完全に廃道状態だ。でもまあこれで何とかなるやろって事でずんずん進む、こんな時はHさん必殺のGPSが役に立つ、うんうん、破線は外してないよだ。倒木やら不明瞭な箇所もあったが文明の力に頼って無事に駐車地点に戻りついた。いやー最後にお気楽ハイク気分は吹っ飛びましたよホント(^^;。

【結局濁りの原因は?】 帰り支度をして車を進めると朝出会ったオジサンが何やら作業をしてはる様子、車を止めて谷の状況を話す。するとオジサン、濁りは駐車地少し下流で合流する木地谷から入ってたとの事、これで原因も解決!?、あとはスイスイと帰阪いたしました。

急なお誘いにも関わらずご一緒してくれたHさんや扇ノ山の素晴らしい自然に感謝。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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