男五人でカオレをやった。川浦谷銚子洞遡行。

渓谷の名称
川浦谷銚子洞
山域(ピーク)
奥美濃
渓谷の概要
岐阜県の北部県境、左門岳より流れる川浦谷は「男一人をカオレにやるな」「奥美濃の黒部」「東の川浦、西の赤谷」と数々の代名詞で呼ばれており界隈では屈指の渓谷と謳われる。その中で銚子洞は川浦谷の本流に当たり豊富な水量によって深く侵食された谷は随所に廊下を作り大滝を懸ける。泳ぎ、登攀、へつり、巻き、沢の技術を総動員しての遡行は名渓の名に恥じないものである。
コースタイム
一日目
【小谷出合い(駐車地)】 08:00(長い林道歩き、銚子トンネルは真っ暗)
【銚子滝下】 09:20(銚子滝は右手の斜面を登る)
【15M美瀑下】 11:30(泳ぎを交えてほぼ水線沿いに行く)
【二俣付近(幕営地)】 14:00(沢ノ又に入ってすぐの台地泊)
二日目
【二俣付近(幕営地)】 09:30(登って来た銚子洞を下る)
【15M美瀑下】 12:10(下降は懸垂下降がメイン)
【銚子滝下】 14:30(銚子滝は50mロープで懸垂)
【小谷出合い(駐車地)】 15:40(最後はまた長い林道歩き)
ポイント
【★★★☆☆(沢3級)】 ポイントは幾つかあるがまずは銚子滝、滝身右手の草付きのような泥付きのような微妙な斜面を登るが水煙で濡れているのでスリップ注意、続く12M滝も右手を登る。15M美瀑はロープを出して右手直登、大岩を従えた岩間滝群は突っ込めば何とかなる滝が殆どだが部分的には渋い登攀を強いられる箇所もある。二俣手前の廊下は右岸を巻いたが高度感あるトラバースなので盛夏なら泳いだ方が無難かもしれない。谷全体が非常にまとまっていて全てが見所と言っても良いだろう。
下 山
【★★★★☆(銚子洞下降)】 登って来た銚子洞を下降する。ルート取りが難しく懸垂下降がメインとなる。特に15M美瀑の懸垂は50mロープを使用しても2ピッチ下降となるので中間支点には要注意だ。銚子滝も懸垂下降となるがコチラは50mロープ1本でギリギリ安全圏に届く。
装 備
一般遡行装備必携、ロープも必携(7mm×10m、8mm×30m、8mm×50m)、ハンマー、ハーケン、カム類も一部使用したが有効な箇所は少なくハーケンの方が効果的。
お勧め度
★★★★★
参加人数
5人
所要時間
一泊二日
天候
快晴
遡行日時
2011/09/24-25
地形図
平家岳
写真室
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:やや悪い 《ヒル情報》:生息(被害者1名) 《温泉》:板取川温泉(600円) 《その他》:高速代金(吹田⇔美濃)往路はETC深夜割で2300円、復路はETC休日割で2450円。


【念願の川浦谷へ】 今年もここ数年の例に漏れず猛暑であったが台風15号が過ぎ去って一気に秋の足音を感じるようになった。「暑さ寒さも彼岸まで」とは良く言ったものだ。今回の沢旅はHさんのご配慮で某宴会遡行に混ぜていただく事になった。場所は奥美濃の名渓『川浦谷』、この川浦谷は「男一人をカオレにやるな」とか「奥美濃の黒部」とか「川浦谷を歩かずして奥美濃の渓を語るなかれ」等と幾つもの代名詞を持つ界隈屈指の名渓であり、その悪さにおいても県下有数のものである。ここ数年ガッツリ渓には縁の無かった私がこの谷が歩けるのだろうか!?、不安と期待が入り混じるなか遡行当日がやってきた。

・一日目

早朝4時にHさんと合流、先発組みの待つ川浦谷林道終点を目指す。美濃ICで高速を降りていつも瓢へ行く時には目印になる自由の女神を通り越して板取川沿いを走る。空は快晴ながら道中の気温表示を見ればなんと『8℃』の表示、ま、マジですか(^^;、秋って言うより冬でっせ(^^;、ネットの情報では確か泳ぐセクションもあったはず、しかも流れは激流やしこりゃ超ファンキーな一日になりそうやわ。

板取キャンプ場を横目に見て川浦渓谷の林道を進む、途中『海ノ溝谷』出合いや『本流ゴルジュ』を覗くがとんでもない水量でとても人間の居れる環境じゃない。情報では新深山トンネルの手前でゲートが閉まってるとの事だったが上手い具合?に開いてて小谷出合いの広場まで車を伸ばす。先発組みもそこで幕営していた模様、無事に合流してご挨拶、今回のメンバーは、わ○じのUさん、Kさん、○遊会のM君、それにHさんと私の5人、最近殆ど沢を歩いてない不束者ですが皆さんよろしくお願いいたします〜。

【小谷出合い駐車地(8:00)⇒銚子滝下(9:20)】 準備を整えてまずは林道歩き、運よく大ツゲ谷手前のゲートまで入れたとは言えみっちり1時間弱は歩かされる。眼下に石門の奇勝を見て真っ暗な銚子滝トンネルを潜れば林道終点の日河原洞出合い、不相応なくらい立派なトイレが建ってるけどカギが掛かってて使えない。

ここから更に遊歩道を歩く、途中つり橋が落ちていたりするが20分くらいで銚子滝に着いた。それにしても銚子滝はえげつない水量で周囲は凄い水煙で暴風雨状態、以前にネットで見た写真とはエライ違いで今日の水量の多さを物語っている。滝壺の上には見事な虹が掛かっており至上の絶景を作り出している。


まずは林道歩きを1時間 至上の絶景、銚子滝

【銚子滝下(9:20)⇒15M美瀑下(11:30)】 さて銚子滝の突破だが、滝身右手の草付きのような泥付きのような岩混じりのような微妙な斜面を登る。残置FIXが張ってあるけどかなり怪しい感じ、滝と同じくらいの高度まで直上してそこから落ち口へとトラバースするが結構な高度感、ここはロープを出して安全を期した。

滝上は赤茶けた岩盤があってその奥に12M滝、これも大釜を従えていて素晴らしい眺め、ここは滝身の右手を登るがホールドスタンスは十分にある。


銚子滝は右手の斜面を登る 12M滝も素晴らしい眺め

これで最初の滝場は抜けた感じ、一旦平凡となって左岸か枝谷が入る。すぐに両岸が迫りだして大釜と流木の立てかかった7M滝、へつりはかなり厳しく意を決して泳いだがめちゃめちゃ冷たいやんか(^^;、全員ブルブル震えながら突破、更にその上に瀑流の2段10M滝、これもへつりは無理っぽい感じで右岸から白濁する流れに飛び込み左岸に転じて乗り越えた。


流木の立てかかる7M滝で仕方なく泳ぐ 続く2段10M滝は瀑流に飛び込んで突破

【15M美瀑下(11:30)⇒二俣付近の幕営地(14:00)】 

左岸からもう一本枝谷を入れると谷は左折して廊下の様相、左岸のテラスを進めば奥で右折して15M滝を落とす。両岸の壁も高く中々見栄えのする美しい滝だ。こいつも右手を直登する訳だが高度感があるのでロープを出す。下部は泥付きで滑りやすいけど上部は快適、割と効いてる残置ハーケンが何本かあったので利用させてもらった。


15M美瀑はロープを出して右手直登 充実した遡行が続きます

その後も圧迫感は無いもののずっと廊下状、大きな滝は出てこないが巨岩が多くなってその処理に右往左往、まあ殆どは左岸側を絡んで行くのと突っ込めば何とかなる程度ではあるが部分的には渋い箇所もあったのでレベルによってはシュリンゲ等できっちりサポートしたい。最後に7M滝の左岸をバランスでへつり抜けると今までの応接が嘘のように穏やかとなった。


廊下の中を右往左往で進む 今までの応接が嘘のように穏やか

右岸からは細流の枝谷が入っているので「もう二俣?」「もう終わり??」なんて話も出たがまだまだ祭りは終わりませぬ。暫く進むと突破に難渋しそうな渕とその奥に樋状の8M滝が見える。ここは泳ぐのを嫌がって右岸からの巻き、踏み跡は割りとしっかりしているが8M滝の頭へ寄る部分が切れているので注意が必要だ。

これで正真正銘に悪場を抜けた模様、前方左岸から階段状の8M滝が流入して二俣へと到着だ。二俣は8M滝を懸ける左俣が『太平』、本流の右俣は『沢ノ又』と呼ばれ小滝が見える。今回は宴会遡行との事だったので左門岳には詰めず沢ノ又に少し入ったトチの巨木がある付近での幕営とした。


8M滝の右岸巻きは高度感あり ここが二俣、太平が8M滝で流入

と言う事はメインは宴会!?、UさんとKさんは食材探し、残る3人はセッティング担当、準備も整いちびりちびりと始まる頃、もう薄暗くなって来たけどKさんが戻らない、最初は「きっと夢中なんやで、まあそのうち帰ってくるやろ」ってお気楽モードだったが18時も迫り「まさか?」と焦って来る。「ちょっと見に行きますか・・・」誰が言い出す訳でもなくそんな雰囲気になり再び足回りをセット、「ううっ冷たい(^^;」。

取りあえずM君を待機で残してUさんとHさんは太平を、私は本流を廊下の手前まで捜索する事になった。秋の夕暮れは早い、二俣まで来る頃にはもうヘッデン無しでは歩けない、深さの見えない渕を腰まで浸かって行けばいよいよ泳がないと無理っぽい感じになった(T_T)、流石に躊躇していると太平の方からライトが降りてくる。「見つけた!?」と急いで戻れば「どこかでコールが聞こえたからてっきり本流で見つけたのかって思い降りてきた」との事「いや、私は吹いてません」、「て事は太平でKさん本人が吹いたって事だ」、太平に登り返すとライトが一つ降りてくる。聞けば「夢中になってた」との事、「いやー良かった良かった」、「一時は最悪の事態を想像しましたよホンマ」、「最悪の事態?」、「そりゃ若い女性だけのパーティと偶然遭遇して意気投合してそっちに流れ込んだとか・・・」、「最悪のシバキもんやな・・・」。

緊張感から開放された宴席ではそんなバカ話をしながら超ファンキーな一日の夜は更けていった。


トチの巨木と快晴の空 快適な幕営地

・二日目

【二俣付近の幕営地(9:30)⇒15M美瀑下(12:10)⇒銚子滝下(14:30)⇒小谷出合い駐車地(15:40)】 朝8時出発の予定が8時起床になった(^^;。まったり朝食を摂って9時半遡行開始、今日は登って来た銚子洞を下る。

殆どは往路のリピートだが、二俣から最初の8M滝下の渕は巻かずに泳ぎで突破、朝からの泳ぎはマジで寒い、「もうこの時期泳ぎの沢は無理やな」って実感した(^^;。それ以降も大岩の処理に懸垂下降を数回、15M美瀑は50mロープでの懸垂でも2ピッチとなる。今回は残置ハーケン数本から分散して取ったが中間支点には要注意だろう。最後の銚子滝は50mロープの懸垂一回でギリギリ安全圏に届いた。

そして最後はまた林道歩き、疲れた身体には核心と思える長さだった。


下降は懸垂メインで行く ああここからまた林道歩き

【充実の二日間に感謝】 いやーほんま充実した二日間でした。ここ数年は泊まり遡行どころかガッツリした沢にも行ってなかった訳だが、今回の銚子洞であの緊張感と充実感、そして何よりも泊り宴会の楽しさを再認識できました。お誘いしてくれたHさんや、快くお仲間に加えて下さったお三方には本当に感謝の気持ちで一杯です。

来年はタイミングを見て川浦谷本流ゴルジュや海ノ溝谷にも挑戦したいですね!。最後は板取川温泉で冷えた身体を暖めて帰阪、高速もスイスイ走って21時には帰宅、大阪から3時間、瓢もそうだけどこの界隈は馴れると日帰りでも行けそうな気がするから怖い(^^;。 至上の一時をご一緒してくださった方々と美しい景色で迎えてくれた奥美濃の山々に感謝m(__)m。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。

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