神童子谷は癒し渓の王道。

渓谷の名称
神童子谷
山域(ピーク)
大峰
渓谷の概要
古くから紀伊半島の名渓の一つに数えられる神童子谷は熊野川の最奥源流部であり、豊富な水量の中で変化のある渓相を見せる。距離が長いので若干間延びする部分もあるが、渓中は難しい場面も無いので初心者でも本流遡行の気分が味わえる秀渓であろう。
コースタイム
【神童子林道終点】 07:30(赤鍋滝は右手の残置沿いを伝う)
【釜滝(Co994m)】 08:55(釜滝は左手の草付き斜面を登る)
【犬取滝下】 10:15(犬取滝は左手からの大巻き)
【ジョレンの滝下】 11:30(ここも左手からの大巻き)
【稲村小屋】 12:45(美しい原生林を詰めて稲村小屋へ)
【岩本橋】 15:10(カンスケ尾根は伐採跡が荒れている)
ポイント
【★★☆☆☆(沢1級+)】 渓中で難しい箇所は無いが、赤鍋滝の右手へつりはやや滑り易い。一ノ滝、二ノ滝は右手巻き、犬取滝とジョレンの滝は左手からの大巻きとなるが踏み跡はしっかりしているので比較的判りやすいだろう。滝場と滝場の間には少し距離があって間延びする部分もあるが原生林に包まれた美しい流れが日々の喧騒を忘れさせてくれる。
下 山
【★★☆☆☆(登山道あり)】 下山はクロモジ尾根を利用する。尾根への入り口は稲村小屋から稲村ヶ岳方面に少し進んだところからバック気味に入るので見落とさないように、Co1380m付近の伐採尾根は左側の尾根に進む。岩本橋へ直接下るならCo1200m付近で左の斜面に続く踏み跡に入るのだが伐採跡はかなり荒れていて歩き難い部分もある。
装 備
一般遡行装備必携、ロープは持参したが使用しなかった。通常のルート取りならロープは不要だろう。
お勧め度
★★★☆☆
参加人数
4人
所要時間
約7時間半
天候
晴れ時々曇り
遡行日時
2010/08/31
地形図
弥山
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:洞川温泉(600円) 《その他》:洞川温泉の駐車場はなんと有料だ。入浴者は1時間まで無料だが女性が居る場合などではかなり厳しく、のんびりと労を癒す場所であるはずの温泉がこれでは到底理解出来ない。


【古の名渓、神童子谷へ】 今年は猛暑が続いて絶好の沢シーズンなのだが膝の調子が悪くてまともに歩けない、しかしやっぱり沢へは行きたいものだ。ずっと思案していたが右膝をサポーターでガチガチに固定して意を決する。

面子はNちゃんと、Nちゃんの山仲間であるAさんとKさん、そして私の4人。私以外の3人は黒滝で前夜泊、私は当日6時に合流、車一台ならカツラギ谷を下降しようか?と思っていたが今日は複数台あるので一台を岩本橋にデポしてクロモジ尾根を下山路予定にした。

デポを完了して神童子林道の終点が7時過ぎ、準備を整えての出発が7時半となった。

【神童子林道終点(7:30)⇒釜滝(8:55)】 林道終点からしっかりした山道を下ってトガ淵を越えたところから遡行開始、しばらくは渕が連続するが適当にへつって行ける。前方に暗い両岸が立つと、これがヘッツイサンで、今では完全な河原となっていて足首だけ濡らしてのお気楽歩行。


渕のへつりは滑り易い へっついさんは完全な河原状

へっついさんを越えると渓谷らしくなって急流が岩間を噛むようになり、暫く進むと前方開けて10M斜瀑が大きな釜へと滑り落ちている。これが『赤鍋滝』だろう。最近、この赤鍋滝はシャワークライミングのツアーコースになっているそうで休日などは観光地化しいるそうだ。

赤鍋滝の突破は右手のいかにも滑りそうなスラブから、しかしいざ取り付いてみると適度にクラックやホールドがあって難なく歩けた。と言うかクラック沿い50cm置きくらいにハーケンが連打してあり何もここまでしなくても・・・、まあ恐らくはツアー客用に打ったであろう事は容易に想像出来る。


赤鍋滝は美しい斜瀑 右手(左岸)のスラブをへつる

赤鍋滝の上は一瞬ゴルジュ風、連続する2M滝を快適に越えれば明るい河原に変わってピッチも上がる。やがて谷が右折してその屈折点に2条8M滝を懸ける。こいつが『釜滝』だ。

【釜滝(8:55)⇒犬取滝下(10:15)】 釜滝は優美な2条滝で右手の流れは支流の『ノウナシ谷』から来ている。突破は左手の草付きからで、一見難儀そうに見えるが木の根やスタンスが豊富にあって問題ない、左俣の本谷を進めばここから神童子谷は犬取谷と名前を変える。


優美な2条滝の『釜滝』 一ノ滝は右手を絡んで登る

犬取谷も穏やかな渓相が続くが、前方で狭まった奥に『一ノ滝』8Mが落ちる。ここは泳げば直登も可能かもしれないが、右手のバンドを絡んで容易に登る。しばらく行くと次は『二ノ滝』10Mだ。二ノ滝は深い釜を有していて美しい、ここも右手から小さく巻いて滝上に抜けた。

また暫く平凡なゴーロがあって、左岸に『レンゲ辻谷』を分けると両岸迫って4M滝、左手を登り越えると前方に大滝の姿が飛び込んだ。『犬取滝』は落差25M、両岸共に高い側壁を従えており壮観な眺めである。


二ノ滝は右手を小さく巻き越える 犬取滝はワイドな壁を従えて壮観

【犬取滝下(10:15)⇒ジョレンの滝下(11:30)】 しばし滝見物をして巻き開始、左手の側壁沿いを登って行くが中々壁が切れずどんどん追いやられて、左手に支流が見えるくらいまで来てようやく折り返す。折り返しの道も踏み跡はしっかりしていて迷う心配は無いが側壁の上を進むだけに注意が必要だ。

谷に戻るとまた穏やかな渓相に戻る。淡々と進んで谷が右折する地点に落ちる4M滝は一旦直進するルンゼに入って巻き登る。その上でやや傾斜が増して4M滝のナメが連続、快適にこなすと前方大滝が望まれた。

CS5M滝を右手から越えて大滝前に出る。実はこの滝は25M『裏見の滝』と呼ばれている滝で支流から落ちる滝である。本流はもう少し奥で右折して2段60Mの『ジョレンの滝』を懸ける。滝下から見えているのは20Mの下段のみで60Mと言われる落差は感じない。


4M滝は一旦ルンゼに入って巻いた 2段60Mのジョレンの滝下段

【ジョレンの滝下(11:30)⇒稲村小屋(12:45)】 ジョレンの滝下には広い空間があってテン場にするにもよさ気なところ、時間もお昼前だしここで昼食タイムとなった。Nちゃん持参のウインナー焼きやコーヒーを美味しく戴く。

滝の突破は左手から、草付き斜面を少し登って小尾根状の斜面を登って行く、結構急斜面だが踏み跡がしっかりしているので迷う心配は薄い、やがて滝音が小さくなった頃にようやく傾斜が落ちて流れの方に寄って行けばドンピシャ落ち口の上だった。

滝上は素晴らしい原生林の森が広がっていて幕営するにも休憩するにもうってつけの場所、まさに沢の桃源郷と言うべきところだ。こんな景色と出会うために私は沢に来ているのかもしれない。

すっかり源流の赴きになった谷をどんどん詰める。二俣は直進すれば稲村小屋に直接出るが、この際源流にこだわろうって事で川床の低い右俣に入る。やがて流れも途絶えてブナの原生林を少し登れば登山道に出た。そこから左に取ればすぐに稲村小屋だった。


源流の赴きになった谷を詰める クロモジの伐採尾根は左へ進む

【稲村小屋(12:45)⇒岩本橋(13:10)】 下山は最短で下れるクロモジ尾根を使う、稲村小屋から少し稲村ヶ岳の方へ進んで稜線を跨ぐ地点でバック気味に続く踏み跡に入る。この周辺は登山道脇にロープが張ってり一見入れない雰囲気なので見落とさないようにしたい。

尾根上は割りとしっかりした道でP1544mを越えてCo1390m付近までくると突然伐採斜面が広がった。ここは左に続く尾根へと入るが伐採斜面は踏み跡が交錯している。やがてCo1200m付近までくると直進する尾根道と左の斜面へ下る道に分かれる。どちらでも大差無いが一台をデポしてある岩本橋へ直接下るには左の道へ進む。おおむねしっかりした仕事道だが伐採跡の部分では突然不明瞭になったりする。幸い赤テープが随所に巻いてあるので、それを伝いながらドンピシャ岩本橋に降り着いた。

【エピローグ】 今回の神童子谷遡行は久々にがっつり歩いた感じである。案の定、両膝のダメージが酷く最後はガクガクになっての下山だったが、しっかりサポーター等で固定すればそれなりに持ってくれる事も判った。今年の沢シーズンも既に後半戦だがもう少し沢に行きたくなった。

今回ご一緒していただいたお三方と大峰の自然に感謝。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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