日本庭園を巡る元越左俣左谷遡行。

渓谷の名称
元越左俣左谷
山域(ピーク)
鈴鹿(水沢岳)
渓谷の概要
鈴鹿中部、水沢岳から小岐須峠にかけての西面、広い集水面積を持つ元越谷は本流である右俣(仏谷)、中俣、左谷と多くの支流を分け、そのどれもが趣きを持った素晴らしい遡行フィールドである。通常は本流である右俣を遡行するが、左俣も小規模ながらナメと小滝が発達していて爽快な遡行を約束してくれる。また付近は日本庭園のような美しさがあり心癒される沢旅となろう。
コースタイム
【大河原橋】 08:15(まずは長い林道歩き)
【入渓点】 08:50(堰堤を巻いて大滝は右手から越える)
【Co600m二俣】 10:40(左俣へ進む、左俣大滝は直登)
【Co760m二俣】 11:40(左谷へ進む、快適なナメ群)
【水沢岳】 13:50(水沢岳付近のガレ場は注意)
【林道終点】 15:30(中俣沿いの下山路から林道終点えh)
【大河原橋】 16:45(帰りも長い林道歩き)
ポイント
【★★☆☆☆(沢1級)】 技術的に難しい場所は無く沢始めや初心者どうしの遡行にも向いている。見所は鈴鹿独特の清冽な流れとそれを受ける釜の競演、源流はうっとりするような二次林の美しさがありどこを切っても絵になる風景だろう。
下 山
【★★☆☆☆(登山道あり)】 下山は登りつめたP1028mより水沢岳、水沢峠から中俣道を下って最後は林道歩きで大河原橋へ戻り着く。しっかりした登山道で迷う心配は少ないが、行程がやや長く水沢岳の登り降りはザレ斜面があって注意が必要である。
装 備
一般遡行装備必携、登攀系の装備は必要ないだろう。
お勧め度
★★★☆☆
参加人数
2人
所要時間
約8時間半
天候
晴れ
遡行日時
2009/04/18
地形図
伊船
写真室
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:良好 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:都祁温泉(700円) 《その他》:2009年4月18日現在、鈴鹿スカイラインは崩土により大河原で通行止めだが一応大河原橋までは入る事が可能だった。


【久々の元越界隈】 今年の春は早い、ソメイヨシノも終わって4月半ばになると汗ばむ陽気になった。そうなればやはり沢が恋しい、今年も鈴鹿に行く事にした。鈴鹿の谷は一部を除いてヒルが多いのでこの時期が最高なのである。メンバーはYさんと私。Yさんは2回目の沢である。実は先週に前鬼川で沢デビューを果しているのだが記録としての目新しさは無かったので報告は割愛させてもらった。

チョイスしたのは元越谷の左俣左谷、元越と言えば通常は右俣本流である仏谷を遡行するのが常であるが『鈴鹿の山と谷』によれば左俣も捨て難いとの事、少し行程距離が長くなるがこの時期に歩いてみる事にした。

早朝集合して名阪から鈴鹿を目指す。鈴鹿スカイラインは崩土によって大河原で通行止めとなっていたがゲートが半分開いていたので行けるとこまで行ってみようと強行突破、幸い取り付きの大河原橋までは問題無く入る事が出来た。ここで準備を整えてさあ出発、青空に盛りを過ぎた桜がコントラストを作る。

【大河原橋(8:15)⇒入渓点(8:50)⇒Co600m二俣(10:40)】 元越谷の始まりはいつも林道歩きから、以前は猪足谷出合い付近まで車で入れたが今では車止めゲートがあってすぐに×となる。元越谷林道に入ってからは幾つか堰堤を見送り朽ちたトタン小屋の見える場所から谷へと下る。降りた場所は堰堤上の明るい河原、さあ今日も安全に楽しみましょう。


大河原橋付近に駐車して出発 明るい河原から遡行開始

まずは平凡なゴーロを進む、花崗岩の丸石はフリクション良好なので歩き易い、右岸に仙ヶ谷を見送って2基一連の堰堤は右手を簡単に巻く、次の岩峡に作られた堰堤は以前は堰堤のすぐ横を登れたが今ではコンクリート壁が剥き出しになっていて容易では無い、ここは少しバックして右手から巻いてルンゼを下る。Yさんは初めての巻き経験で少し怖がっていたが、沢登りに巻きの処理は必須と言えるもの、頑張って馴れてくださいね!。

谷は徐々に渓谷の様相を呈してまずは美しい瀞が出迎えてくれる。何とも言えないコバルトグリーンの清水を見ていると吸い込まれそうな感覚を覚えてしまう。元越谷は鈴鹿でも屈指の美渓の一つだろう。ここは両岸ともヘツリが可能だが右手のヘツリをチョイス、まあ簡単なんで無事に通過!。


このコバルトグリーンこそ鈴鹿の渓 右手から容易なヘツリで突破

だんだんと両岸に壁が目立ってくると谷は左折して15M滝を懸ける。沢屋の間では『元越大滝』と呼ばれる滝で落差以上に迫力のある滝だ。ここは右手の傾斜が緩んだ岩場を登って滝上に出るものだが、人気のある谷だけにトラロープも設置してあって簡単に通過できる。

大滝上からCo600m二俣までは浅い廊下が続く、大きな滝は無いが大小様々な釜と小滝の競演があって元越谷のハイライトと言える部分である。突破で問題になる場所は無いが概ね左手がへつり易い、大岩の鎮座する1M滝付近は鈴鹿でも屈指の美しさであろう。


元越大滝は落差以上に迫力を感じる 大岩の鎮座する1M滝は息を呑む美しさ

やがて4M滝を左手から越えると美しい廊下も終りを告げ右岸から支流が入る。ここがCo600m二俣で本流は右俣だが今日は左俣へと進んだ。

【Co600m二俣(10:40)⇒Co760m二俣(11:40)】 左俣は平凡なゴーロからすぐに堰堤に突き当たる。この堰堤は水沢峠から中俣道を降りてくると突き当たる堰堤だ。ここは右岸に登山道が通じているのでそれを伝って堰堤上に出た。上は明るい白砂の河原で中俣と左俣の二俣でもある。

今日は左俣へ進む、最初は明るいゴーロ、左岸に白に崩壊斜面を見て暫く行くと小滝が出て来て快適に直登、水もそれほど冷たくなく良い感じである。


左俣すぐに出合う堰堤は左手から 小滝を快適に登って行く

やがて一際大きな水音があって前方に目を向けると、そこには5Mくらいの滝が連段に落ちていた。全部で4段、落差は20Mくらいだろうか?、これが『左俣大滝』と呼ばれるもので中々の景色である。ここは右手からシャワーを浴びて直登勝負!、と言っても簡単で楽しく登れる滝であろう。


4段20Mの左俣大滝は中々の景色 こいつはシャワーで直登勝負

滝上は一転平凡になるがナメが随所に現れて退屈さは感じない、この左俣から左谷にかけてはナメの発達した谷で稜線直下まで目を楽しませてくれる。少し進んで顕著な二俣、Co760mの二俣である。水量は右俣(右谷)の方が多いように感じるが、ここは最奥部へと突き上げる左俣(左谷)を進んだ。

【Co760m二俣(11:40)⇒水沢岳(13:50)】 左谷も滝は少ないがずっとナメが続いている。右岸に壁の立った岩間滝を抜けると斜瀑ともナメとも言えるような傾斜のナメ滝が連なっていた。明るい風景の中、まるで誰かに手入れされた日本庭園のような美しい場所である。おそらくこれが左谷の大ナメと呼ばれる辺りであろうか!?。ナメと小滝が絶え間なく続き、のっぺりとした5M直瀑は一見手強そうだが上手い具合にガバがあって直登可能、そこからも続くナメ群を越えるとまた二俣となった。たぶん地形図Co900m付近の二俣だろう。ここは右俣へと入った。


気持ちの良いナメが連続 のっぺりした5M滝も直登可能

谷もそろそろ源流の赴きとなって溝状の中ををどんどん登って行く、最後は緩やかな潅木斜面を少し登ってP1028mのやや北側の稜線に飛び出した。最後まで水も切れず登りつめた稜線からは鎌ヶ岳の勇姿が臨まれてフィニッシュまで爽快であった。


幾つものナメと斜瀑を越えて行く 明るく穏やかな源流のナメ

【水沢岳(13:50)⇒林道終点(15:30)⇒大河原橋(16:45)】 さて下山、ルートはP1028mから水沢岳を経て水沢峠から中俣道を下る予定だ。後はずっと登山道なので楽勝かと思ってたら水沢岳直下には『茸岩のガレ場』と呼ばれるザレザレ斜面があってけっこうキツイ、ヒーヒー言いながら登り終えるとやっと水沢岳に出た。さあ、もう楽勝やろと歩を進めたら今度は下りにも手がかりの無いザレ場、『馬ノ背渡り』と言うらしいが結構な高度感で悪天候の時は危険な臭いがする。こんなとこを平気で行き交いするハイカーさんってほんと凄いよなぁ(^^;。


ザレ場は展望抜群だが結構キツイ やっと水沢岳、でも下りにもザレ場が!

水沢峠まで来るとほっと一息、元越中俣沿いの登山道に入って下って行く、この道はここ数年で少し荒れたようで若干不明瞭な部分もあるがテープ類も多いので迷う心配は無いだろう。やがて中俣と左俣の分岐点にある堰堤に到着、Yさんは馴れない長距離下山で膝の具合が悪いらしくゆっくりマイペースで進む、でもこんなポカポカ陽気の日はのんびり自然を満喫しながら歩くのが一番なんすよね(^^)。

堰堤からは右岸の水平道に入り少し登って林道に出る。そこからは小一時間の林道歩きで大河原橋へと戻り着いた。今日は一日快晴で暖かくて最高の遡行日和だった。

【やっぱり鈴鹿は最高〜】 今年もこの時期は鈴鹿に来た訳だが、やっぱり鈴鹿は手軽で楽しく遊ばせてくれる山域である。今回はYさんの実質初沢登りでもあったのだが下山の疲労はあったものの渓中は難なく歩いてくれたし、何より「楽しい」と言ってくれた事が冥利に尽きる。まあゴーロの歩き方や弱点の見極め等は最初から上手く出来るはずも無いのでこの辺りは数を行くうちに馴れてくる事だろう。

最後は針テラスの都祁温泉に入ったが、どっちかと言うとお風呂っぽくてあまり温泉気分な感じでは無かった。今年も安全に楽しく沢で遊びましょう!!。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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