暑い、辛い、痛い、三拍子揃ったゴンサイ谷右俣遡行。

渓谷の名称
ゴンサイ谷右俣
山域(ピーク)
台高(小白鬚)
渓谷の概要
台高山系の中部、鋭鋒で知られる白鬚岳から小白鬚の北斜面を流れて中奥川へと注ぐゴンサイ谷は、この流域では戸倉谷、向流谷と並んで変化のある谷として知られていた。確かに出合いから二俣までの深い廊下、右俣に入っての連瀑と千変万化して楽しい遡行が期待出来る。しかし、そこから上部は伐採斜面と崩壊壁が広がり、谷は間伐林で埋め尽くされてとても遡行出来る代物では無い、更に逃げようにも両岸とも崩壊斜面か伐採後に繁殖する茨の海、批判はしたくないがこの谷はもう終わっている。
コースタイム
【ゴンサイ谷出合い】 08:20(出合い暫くから滝が連続する)
【Co550m二俣】 10:10(右俣3段滝を右手から巻き上がる)
【Co780m二俣】 12:20(この辺りより物凄い倒木責め)
【小白鬚P1282m】 15:00(Co910m付近で谷を捨てるも茨藪に苦戦)
【トグラP1046m】 15:45(トグラの急降下を過ぎてCo870m付近より北へ下降)
【枌尾集落】 17:10(Co560m付近で林道へ飛び出した)
【ゴンサイ谷出合い】 17:55(長い林道歩きで足がボロボロ)
ポイント
【★★★☆☆(沢3級)】 出合いからCo550m二俣までの滝は殆ど直登可能である。右俣の3段滝はぬめっていて手強く、右手から巻いてしまう。その後も手強い滝が多く巻き中心の遡行、踏み跡は皆無なので的確なルート取りを要求されるが、巻き自体はそれほど悪いものではない。但しCo700mを越えた辺りから完全に伐採されており谷は間伐林で埋め尽くされている。とてもまともな遡行は出来ないだろう。我々はCo910m付近で谷を諦め、そこから右岸の茨だらけの伐採斜面を登ったがCo1100m付近でーに掴まる。更にーの基部を左手にトラバースして右俣左谷へ逃げ込み、最後はガレと植林斜面を喘いで小白鬚より一つ東側のピークに登り詰めた。
下 山
【★★★☆☆(要読図力)】 下山は小白鬚からトグラP1046mの急下降を経てCo870m付近から枌尾集落へ向って植林尾根を下降した。この付近、1994年のエアリアには破線道としての記載があるのだが、2009年時点ではテープはおろか踏み跡の痕跡さえ無くなっている。枌尾の集落でも聞いてみたが、やはり今は荒れてしまって道は無いそうである。植林尾根の下降自体はそれほど急斜面ではなく方向さえ間違わなければ道が無くても問題は無いだろう。うまくすればCo560m付近で林道に飛び出すはずだ。後はゴンサイ出合いまで小一時間の舗装路歩きが待っている。
装 備
一般遡行装備必携、ロープも必携、ハーケン類もあれば安心出来るだろう。今回はランニングプロテクションにボールナッツ、後続確保の支点にカム類を使用した。
お勧め度
お勧めしない
参加人数
3人
所要時間
約9時間半
天候
晴れ
遡行日時
2008/05/10
地形図
大和柏木
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:普通 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:かもきみの湯(500円) 《その他》:この谷は行かない方が無難だろう。


【足慣らしの最後に・・・】 そろそろ沢の感覚も思い出して来て足慣らしも完了にしようと思うけど何処へ行くか?、まだ泳ぐのは寒いしシャワーも辛い、水量が適度で、それなりに簡単なやつを探してチョイスしたのは台高、中奥川のゴンサイ谷右俣だった。この谷の存在はガイド本等で知ってはいたが、なんだか暗い雰囲気の谷みたいで今までは避けて来た。でもちょうど水量も少なそうだし今の時期なら良いかな!って感じの安易な選択である。

面子は沢4回目のYさんに、お久しぶりで今年初沢の高やん。今日は近場の中奥って事でちょっとゆっくり目に集合、それでも8時前には出合いに到着だ。谷を覗けば本流に懸かる木橋が見える。早速付近の路肩に駐車して準備を整えた。

【ゴンサイ谷出合い(8:20)⇒Co550m二俣(10:10)】 出発は8時20分、結構揺れる木橋を渡ってすぐにゴンサイ谷へ入る。のっけから滝があって期待したがすぐに伏流してしまった(^^;。ゴーロを見ればやっぱり石灰岩交じりである。しかしすぐに流れが復活、谷は暗く陰鬱な感じだが伏流水を含んだ流れは綺麗で気分も乗ってきた。


本流はけっこう揺れる木橋で渡る まずは5M滝を軽く登る

最初の5M滝を難なく越えてお次は2段6M滝、左手には抉れた空洞があってなんだか妙な光景だ。ここはシャワー気味に直登するが身長の低い高やんは少し苦労した様子である。


左手に抉れを持つ2段6M滝 リーチがないと少し苦労するかも

更に美しい2条5M滝を越えて廊下状に懸かるCS2段6M滝を迎える。ここは大岩との隙間を縫うようにステミングを効かせて登るが上段は乗り込みが高く後続にはスリングでサポートした。滝上はまだ廊下の様相で8M斜瀑が行く手を阻む、傾斜が割と緩くて直登可能かと取り付いたが上部が細かくて途中からロープを引っ張った。思えば今シーズン初のロープ出動で、やっぱりビビリ気味であった(^^;。後続はFIXと末端確保で突破。


8M斜瀑で今シーズ初のロープ出動 この堰堤は左岸を容易に巻ける

これで一旦廊下を抜けた模様、苔むした堰堤を左岸から巻けば荒れた感じのゴーロになった。しかしすぐに両岸が狭まってきて前方には何やら滝の気配、近寄ってみると二俣となっている。高度を確認すれば、ここが地形図Co550m付近の二俣であろう。

【Co550m二俣(10:10)⇒Co780m付近二俣(12:20)】 二俣は両方とも滝となって合流しているが、右俣の方が若干水量が多く8M、5M、13Mと続いて壮観である。左俣は本流と言える谷で大岩の鎮座する8M斜瀑が落ちている。

今回は右俣の予定なので、ロープを引いて攻略開始、しかし予想以上にぬめっていて手強い、何度か取り付きを変えて挑戦してみたがどうも一手が乗り込めない、時間も経過して来たので挫折して、結局すこし戻った左岸から巻いてしまう(^^;。


二俣は両谷とも滝になって合流 右俣の連瀑はなかなか壮観だ

この連瀑の巻きは立っている部分もあるのでルート取りには注意が必要だ。最後の13M滝の上は廊下になっていて降りるのは難しくそのまま左岸をトラバースして河原に降り立った。

しかし眼前には8M斜瀑がスルスルと落ちている。頑張れば登れそうな気もしたが、さっきので巻き癖が付いてしまい、ここも右手から巻き上がった。しばらく進んで今度は簾状に広がった15M滝、下部は抉れていて特異な景観だ。こいつを登るのは無理でやっぱり右手から巻き上がる。


8M斜瀑は右手から巻き上がる 簾状15M滝は下部が抉れている

まだまだ滝があって大岩の鎮座する7M滝が通せんぼ、ここは左手を小さく巻いてバンドに出るが張り出した岩の下を四つんばいで抜ける箇所があって少々緊張すた。さあお次は何かな?とワクワクして進めば、あら?、突然水が枯れてゴーロとなってしまった。しかも右岸が伐採されていて間伐林が容赦なく谷を埋めている。何とか頑張って進んでみるも、2重3重に重なった倒木群は縫って出る隙間も無いほどだ。それでも根性でCo780m付近の二俣と思われる場所までやってきた。


大岩の鎮座する7M滝 もはや遡行出来る状態じゃない・・・

【Co780m付近二俣(12:20)⇒小白鬚(15:00)】 さあどうするか、水も無いしこのまま遡行を続けても・・・、でも谷を戻るのも結構渋い巻きがあったし悩むところである。ガイド本には上部の事は何も書かれていないし、もう少し進めばマシになるかも?、そんな期待を込めて右俣の谷を強行に進んで行く、しかしこれが悪戦苦闘の始まりだったとは思いもよらなかった。

Co880m辺りで左手からの支谷が10M枯滝となって出合う。直進する右谷はえげつない間伐林、ガイド本でも先の10M枯滝を越えているみたいなので追従する事になった。しかしこの辺りから茨が混じりだす。10M枯滝、5M枯滝を越えたがもう谷中を進むのは限界だろう。

Co910m付近で遂にギブアップ、一同協議で谷を捨てる事に決定、本当は左岸側の大きな尾根に行きたかったけど、あの崩壊斜面ではまず取り付けない、仕方なく右岸の尾根へと逃げ込んだ。しかし地形図で判断するとこの尾根はCo1100m付近にーが予想される。はたして逃げれるかどうか・・・、でも戻るのはもっと苦痛だし時間も押しているので行くしか無い。

右岸尾根は最初は植林内の登りであったがすぐに一面伐採されたハゲ尾根に変わった。しかも茨の海だ。斜面に生えている全ての植生が茨といっても過言じゃない。この状況を一言で例えるなら『北斗の拳』である。一歩進む度に「アタタタタタタターッ」「アタッ」、後ろでは「ひでぶ〜」とか「あべし〜」とか言っているし、もしゴンサイ谷の事を「どうか?」と聞かれたら「おまえはもう死んでいる」と答えるしかないだろう。

悪戦苦闘を重ねようやく樹林帯の近くまで登ってきたが、前方には予想通りのーである。高さ50m以上、幅は100mくらいあって両岸の谷にまで張り出している。地形図から推測するとーの際を左手にトラバースしてCo780mで分岐した左谷に入れば若干傾斜の緩い地形があるはずだ。確証は無かったが、もうこれに賭けるしかない、もし左谷に大滝でもあったら今日中の下山は万事休すであろう。

身体中すり傷だらけ、手のひらは刺だらけになりながら左谷へ降りると例ののーが谷に側壁を落としている。しかし幸いにも滝な無くガレたルンゼ状であった。コレなら行ける!。慎重にガレ場を攀じて左岸に降りてきた植林帯より尾根に取り付いた。途中さっきのーの上に出る場所があって苦労の末の絶景であった。


伐採尾根は最悪の茨地獄 苦労の末にーの上から絶景を臨む

【小白鬚(15:00)⇒トグラP1046m(15:45)⇒枌尾集落(17:10)⇒ゴンサイ谷出合い(17:55)】 悪戦苦闘の末に飛び出した尾根は小白鬚より一つ東側のピーク、小白鬚からは良く踏まれた神之谷への登山道を伝う。東谷の分岐を過ぎ、トグラと呼ばれるP1046mを過ぎれば岩場混じりの急下降、石灰岩の露岩はカレンフェルトの一種であろう。振り返ればトグラ(戸ー?)が聳え立って威圧的であった。

そして問題はここからである。このまま登山道を進めば容易に神之谷へと降り着くが、それでは駐車地のゴンサイ出合いまでは2時間近い林道歩きが待っている。さっきの茨地獄でヘロヘロの身体にそれは辛い、古いエアリアにはCo870m付近から枌尾集落へ下る道が記載されている。それを使うか!?、だが付近には道標はおろか分岐を示すようなテープも無い、地形図で見る限りはそんなに傾斜は強くないようだ。時間も無いし強引に下るか・・・、山歩きの経験が少ないYさんが心配であるが明るいうちに車へ戻るならコレしか無いであろう。


トグラの急斜面を振り返る Co870m付近から植林内を駆け下る

そうと決まれば時間が惜しい、方位を定めて植林の斜面を一気に駆け下る。下地のクッションは良く疲れた足でも何とかなりそうだ。時おり道の痕跡みたいな切り開きが横切るけどどれも明瞭な物では無い、尾根とも谷とも着かないだだっ広い斜面をどんどん下るとCo560m付近で眼下に白い物が、一瞬岩か?と思ったけど良く見ると舗装路だった。

やっと安全圏である。もう暗くなっても何でもOKだ。枌尾の集落で、この道について聞いてみたが、かなり前に大学登山部が整備をしたみたいだけど、今は荒れ放題で道を見つけるのは難しいとの事であった。後は長い林道を歩いて駐車地へ、途中で女性陣とはぐれてしまうハプニングもあったが、どうにか合流して中奥川を後にした。

【おまえはもう死んでいる】 正直言って散々な遡行であった。暑い、辛い、痛いの三拍子、今まで行った沢の中でもワースト三本に入る悲惨さだ。二俣辺りまでは楽しい谷やな〜と思っていたが、そんな記憶は微塵も残らず吹き飛んでしまった。谷の批判はしたくないがゴンサイ谷よ「おまえはもう死んでいる」としか言いようが無い、まあどうしてもと言うなら二俣上のゴルジュ辺りまでをピストンするのが無難であろう。

最後は『かもきみの湯』で汗と刺を落として帰阪はかなり遅い時間となった。ご一緒してくれた両人にも大変な一日であっただろう。ほんとお疲れさまでした。次は綺麗で楽しい谷に行きましょう〜。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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