発祥と禁断の渓谷へ!惣河谷支流遡行!!

渓谷の名称
惣河谷支流
山域(ピーク)
北摂
渓谷の概要
宝塚の北側、中山南西面の水を集めて武庫川へと注ぐ惣河谷、その右俣に当たるのが惣河谷支流である。古くは都市近郊の秀渓として左岸壁と共に多くの岳人を迎えたこの谷も砕石工事等で下部を中心に荒れ放題、現在は立ち入り禁止となってしまった。中流域以降は本来の自然を取り戻して釜と滝場が連続、特に核心部の連瀑帯は見事という他ない。「こんな近くにこんな渓谷が!」そんな表現がぴったりの渓谷だろう。
コースタイム
【JR宝塚駅】 08:50(車道はダンプ多し(^^;)
【惣河谷支流出合い】 09:25(出合いは小滝の連なる廊下状)
【大滝(F1)下】 09:45(右手を巻くが・・・)
【8M滝(F6)下】 10:25(F6は直登、F7は右手フェイスから登る、F8はナメ滝)
【6M滝(F9)下】 11:00(F9は左手バンドをへつって登る)
【えふてん滝(F10)下】 11:35(二俣を過ぎた辺りで左岸尾根に逃げる)
【林道】 11:50(やすらぎ広場を経て宝塚へ)
【JR宝塚駅】 13:00(都会に沢衣装では恥ずかしい(^^;)
ポイント
【★★☆☆☆(沢2級)】 ポイントは『F6』から始まる連瀑帯、登攀自体はそれほど難しいものではないがヌメリによる不意のスリップには注意したい、『F6』から『えふてん滝』までは見事な渓谷美で遡行のハイライトとなる。水質は微妙だが付近の谷では一番面白いだろう!?。
下 山
【★☆☆☆☆(林道伝い)】 下山は自衛隊演習にも使用されている広い林道を下る。眺望する市街地を目指してどんどん下って行くと『やすらぎの広場』から『動物霊園』を経て宝塚へと戻れる。
装 備
滝を直登するなら一般遡行装備とロープ必携、全て巻くなら登山靴でも可能だがよく滑るので沢靴の方が動き易い。今回はF6、F7、F9の登攀でロープを使用、プロテクションは残地物を利用したが古いハーケンに混じって比較的新しいボルトやテープ類も見受けられた。
お勧め度
★★★☆☆
参加人数
2人
所要時間
約4時間
天候
晴れ一時小雨
遡行日時
2007/04/28
地形図
武田尾
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:滑り易い 《ヒル情報》:見なかった 《温泉》:無し 《その他》:無し

《注意》: 惣河谷支流は現在入谷禁止です。今回の報告は私の独断による進入であって他者の入谷を推奨するものではありません。


【発祥と禁断の渓谷へ】 惣河谷支流、この谷は今からン十年前、高校山岳部時代に北ア縦走の練習で訪れた事がある。この時に初めて沢登りを体験、言わば私の沢発祥地という訳だ。その当時はロープの使い方も知らず、勿論ハーネスなんて物は別次元の人が使う物だと思っていた。なのでロープを身体に直接結び付けて無我夢中で登った記憶がある。しかしこの体験は本番(北ア)よりも衝撃的で、ここから沢への憧れを強く抱くようになった。

時は流れてそれなりの遡行技術を身に付けた頃、いつかは惣河谷を再訪したいと常々思っていたのだが10年程前より谷の左岸斜面で砕石作業が行われ入谷禁止となってしまう。実は数年前に一度大滝(F1)まで偵察に行った事もあるのだが、その荒れようを見て「惣河谷はもう死んだ」と諦めていた。

しかし最近になってまた惣河谷遡行の情報がチラホラ耳に入り、過去の思いが再び湧いてきて再訪を決意する。以前の記憶から完全突破を狙うには確保の必要な滝もあったはずで単独では少々不安が残る。GWにそんなマニアック半日沢を付き合ってくれる人がいるだろうか?、ダメ元で探したらMさんが土曜半日ならOKとの事で同行してくれた。ラッキーv。

【JR宝塚駅(8:50)⇒惣河谷支流出合い(9:25)⇒大滝(F1)下(9:45)】 出発はJR宝塚駅、古い記憶を思い出しながら国道を西へ歩くと生瀬橋の手前で北側から入る谷が惣河谷本流だ。昔はここから遡行を開始して出合いすぐの堰堤巻きに泣かされた記憶がある。今日は支流出合いまで車道を行くがダンプが多く少々怖い、右手にマンション群を見て車道が橋をかけると出合いはすぐ、橋を見送って最初のふくらみでガードレールをまたげば谷へ降りる踏み後がある。(スポーツニッポンゴルフ場と長尾山霊園への分岐まで来れば行き過ぎだ)

降り立った谷は本流ですぐ上流には5M滝が飛沫を上げる。ここで沢装備に変身、支流へは少し下っていきなりの淵場を迎える。ここでフリクションや岩質のチェックをするのが良いだろう。惣河谷は花崗岩が主力の谷で岩自体のフリクションはまずまずだがヌメリが酷く特に茶色い苔の付いた箇所はヌルヌルする。これは水量が少なく水質もあまり良くない谷に多く見受けられる現象だ。流れは清流とは言えないが最悪って程でも無い、浸かるのは嫌だが落ちてもまあ許せるって感じ。


出合い本流に懸かる5M滝 支流へは少し下って小滝から始まる

上部に橋を見送って少し進むと今度は右岸にコンクリートの階段、行く行くは護岸整備でもするつもりなのだろうか?、出来れば自然のままそっとしておいて貰いたいが・・・。暫く凡流があって右岸が立ち出すと2M岩間滝と見栄えのする10M滝、これが惣河谷大滝で以前は右手から登っての『への字』状トラバースに恐怖したのを思い出す。


惣河谷大滝10M(F1)の左岸は崩壊 2M滝(F3)はミニ廊下に懸かる

【大滝(F1)下(9:45)⇒8M滝(F6)下(10:25)】 現在の大滝に昔の面影は無く左岸斜面は大きく削り取られて明るく開けている。左手からの突破も可能だが右手のガレ斜面を登って砕石場の隅に出る。ちょうど工事のダンプが走っていたので見つからぬ様に急いで谷に戻った(^^;。

戻った谷はミニ廊下状、すぐに深い釜と1M滝(F2)、2M滝(F3)を迎えるが左右どちらをへつっても大差無い、巻きは左手にある。この谷は入谷禁止のはずだが赤テープやトラロープが随所にあり、滝には案内板まで付けてある。禁止と言いつつ案外歩かれているようだ(^^ゞ。F3滝を越えると谷は穏やかになるが相変わらず左岸の崩壊部が続いていて味気無い、その崩壊部分が終わる地点に階段状3M滝(F4)が落ちている。

ここから谷は本来の姿となり新緑の中を進む、大きな釜を従えた5M滝(F5)はあえて難しそうな左手からへつった。と言うのも以前この辺りに悪いトラバース箇所があったのだ。遡行の前半にあったと記憶しているので今はもう埋まってしまったのかも知れない。また暫く平凡な流れのあと大岩が目立って傾斜が増す。前方には大きな釜と8M滝(F6)、ここからが惣河谷支流の核心部だ。


大きな釜を従える5M滝(F5) 大岩が目立つと核心部も近い

【8M滝(F6)下(10:25)⇒6M滝(F9)下(11:00)】 まずは8M滝(F6)、左手から釜をへつって直登するが中間のヌメリが酷くスリップに気を遣いながらの登攀、私はフリーで登ったが後続は末端確保で来てもらう。続いては直瀑の7M滝(F7)、垂直の壁から飛沫を巻き散らす迫力ある滝だ。ここは右手の垂壁から取り付いて上部で落ち口へと斜上、高度感もあってこの谷のクライマックスと言えるだろう、中間部には錆びたハーケンがあって利用した。更に6M斜瀑(F8)も繋げて登ってしまうがヌルヌルなのでスリップには要注意、滑ればF7、F6へとバウンドしかねない。


8M滝(F6)からが核心部 この辺りスリップには要注意

この辺りの渓谷美は実に素晴らしく「こんな近場にこんな桃源郷があったのか!!」、思わず有頂天になってしまう。昔にも感じたこの感覚、そう、この感覚こそが私を沢の世界へと導いたのだ。振り返ると左岸壁が大きく聳えて威圧する。まだまだ油断は禁物、気を引き締めて行こう。


飛沫を散らす7M滝(F7) 振り返れば左岸壁が聳え立つ

【6M滝(F9)下(11:00)⇒えふてん滝(F10)下(11:35)】 そして6M滝(F9)でその渓谷美は頂点を迎える。極度に狭まった廊下の奥に一条の瀑布、突破は左手の細いバンドを伝いそのまま左壁に取り付く。ホールド、スタンス共にあまり良いとは言えないが残地のボルトやハーケン類が比較的しっかりしているので思い切った楽しいクライミングが可能だろう。


廊下の6M滝(F9)は左手バンドを伝う ここは楽しいクライミング(^_^)v

【えふてん滝(F10)下(11:35)⇒林道(11:50)⇒JR宝塚駅(13:00)】 F9を越えればすぐに『えふてん滝』と呼ばれる5M滝(F10)、どこでも簡単に越える。越えた場所が二俣で右手から2M滝、左俣へ入って暫く進むと右手の尾根状に赤テープと踏み後、それを伝えば5分も登らないうちに林道へと出た。


えふてん滝(F10)はどこでも登れる 下山の林道は展望良好

後は展望を楽しみながら林道を下るだけなのだがこの林道、自衛隊の演習にも利用されている模様で随所に広場や怪しい設置物がある。一瞬入ってはいけない場所に来てしまったのかと沢中以上に緊張した(^^;。

やがて『やすらぎ広場』まで来ると一般ハイキングの方も増えて和やかモード、後は市街地を見下ろしてどんどん歩けば住宅街から『動物霊園』の看板を見て宝塚の中心部へと戻って来た。


爆薬置場って・・・(^^; 何やら怪しげですなぁ・・・

【思い出の谷は今も密かに】 今回は自身の記憶を辿る懐かしい遡行となった。ゆっくりと記憶の糸を紡ぎながら歩いたが、忘れていた部分、覚えていた部分、変った部分、変ってない部分、途切れていた記憶の断片がまた一つに繋がった。思い出の谷は今もひっそりと生き続けていたようだ。しかし開発と言う名の破壊はすぐ側まで押し寄せて来ている。願わくばこれ以上進むことなく自然のままであり続けて欲しい。

今回、突然の誘いにも関わらず私のこだわりとも言えるマニアック遡行に同行頂いたMさんに感謝m(__)m。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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