蒼ノ廊下に酔う黒蔵谷(クロゾウ谷)遡行。

渓谷の名称
黒蔵谷
山域(ピーク)
南紀(野岳法師山)
渓谷の概要
標高970mの野岳法師山から流れる黒蔵谷は1000mに満たない標高ながら広い集水面積を持ち長大な渓谷を形成してる。その渓相は廊下の連続で泳ぎと徒渉が遡行の中心、ウォータークライミング発祥の地とまで言われている。自然林の美しさ、谷の規模から見ても南紀のみならず関西を代表する谷の一つだろう。
コースタイム
一日目
【黒蔵谷出合い】 09:00(出合いやや下流に降りて遡行開始)
【出谷出合い】 11:30(鮎返滝は左手直登だが悪い)
【高山谷出合い】 13:35(中ノ廊下は泳ぎの連続で美しい場所)
【カンタロウ滝下】 15:10(カンタロウ滝は左手ルンゼを詰めるが急斜面)
【第四支流出合い】 16:30(左岸から第四支流が25M滝で入る。ここで幕営。)
二日目
【第四支流出合い】 07:50(朝からいきなりの泳ぎ(^^;)
【二俣(Co510m)】 08:55(左俣に入ると一転ガレ谷となる)
【林道(Co720m)】 09:40(泥壁の手前から右手尾根に逃げて林道へ)
【デポ地】 12:20(後はとてつもなく長い林道歩き(T_T))
ポイント
【★★★☆☆(沢3級+)】 最初のポイントは鮎返滝の突破、釜を泳いで左手の壁を登るが逆層で抜けの一歩が悪い。中ノ廊下に懸かる5M斜瀑は釜を泳いで左手からボルダームーブで抜ける。カンタロウ滝30Mと前衛8Mは直登不可で左手から巻きあがるが木の根頼りの急傾斜、特にカンタロウの巻きは左手ルンゼを詰めて上部でトラバース気味に小尾根を乗り越す大高巻きとなる。上ノ廊下に懸かる樋状10M斜瀑はステミングを駆使して登るがやや緊張する。見所は随所に現われる廊下群と連瀑の競演。
下 山
【★★☆☆☆(林道)】 下山は野竹法師付近まで延びる林道から安川大塔林道へと繋ぐがまともに歩くと15K強(^^;、出来れば車2台を用意して短縮を図りたい。
装 備
一般遡行装備必携、ロープ必携、ルート取りにもよるが積極的に登る場合は登攀具の類を持参したい。前半は泳ぎの連続なので保温や浮力、防水の対策もしっかりと!。
お勧め度
★★★★★
参加人数
4人
所要時間
一泊二日
天候
晴/雨のち晴れ
遡行日時
2007/08/11-12
地形図
皆地
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:やや滑り易い 《ヒル情報》:生息(被害者1名) 《温泉》:湯泉地温泉滝の湯(500円) 《その他》:2007年8月11日現在、安川大塔林道は通行止めとなっている。断崖を縫う道だけに道路情報も事前にチェックしておきたい。


《一日目》

【今年のメイン沢】 真夏のシャワーワールド本命、今年は泳ぎと沢泊を意識してチョイスしたのは南紀の黒蔵谷。面子は沢の御大であるR畑さんとT中さんに沢スキルアップを目指すMちゃんと私の4人、御大二人が参加してくれて心強い。

早朝『道の駅ほんぐう』に集合、車をデポすべく安川大塔林道を目指すがなんと通行止め、デポが出来ないと下山に15K以上の林道歩きが待っている(T_T)。どうするか悩んでいると工事関係のおじさん登場、聞けば「途中で完全に封鎖しているが黒蔵谷から20分くらいの場所までは入れるしお盆で工事も一段落なので入ってもいいよ」との事、これで少しは林道歩きを短縮出来そうだ。一台を工事区間の少し下流にデポしてもう一台で黒蔵谷出合いに戻って準備を整える。

【黒蔵谷出合い(9:00)⇒出谷出合い(11:30)】 明瞭な山道で降り立った場所は黒蔵谷出合いのやや下流、前方に巨大な餘倉岩を見て河原を進めば鮎返滝10Mがいきなりの登場、水勢も強く中々の迫力だ。


まずは暑〜い河原歩き 鮎返滝は左手の凹状を突破

鮎返滝の突破は右岸巻きが通常とされるが見ていると滝の左手凹角が登れそうである。まずは私がロープを引いてトライするも上部が思った以上に細かく悪い、確実なプロテクションを取れれば思い切った登りも可能だがカムの入るクラックは無いしハーケンを打てばボロボロと剥がれる(^^;。一旦作戦を練り直しと戻ればR畑さんが「私が行ってみましょう」と選手交代、そして卓越したステミングで見事登り切ってしまった。うーん上手い、流石である。後続は確保で抜けるがみんな苦労気味だった。

滝上暫くは平凡な河原、しかし両岸立って渕が出だすとそこからは瀞場の連続になる。下ノ廊下に入ったのだ。泳ぎの猛者であるT中さんを筆頭に3人は泳ぎ進むがR畑さんはとことんへつり進む、しかも下の廊下を殆ど浸からずにへつり切ってしまったのだから凄い。


美しい廊下を泳ぎ進む 泳ぐ人、へつりで進む人

下の廊下はこんな感じで泳ぎを繰り返すだけで楽な遡行、最後に小滝と釜が連続する箇所を越えれば廊下を抜けて第一支流である出谷の出合いに到着。


小滝と連続する釜群をこなすと 廊下を抜けて出谷の出合い

【出谷出合い(11:30)⇒高山谷出合い(13:35)】 出合いを過ぎるとすぐに次の廊下、中ノ廊下だ。下ノ廊下よりも狭くて壁が高くここからはへつりだけでは抜けれない箇所も多い、大釜を従えたCS2条2M滝はT中さんが右手から泳ぎ抜けてR畑さんを確保、素早く息の合った動きである。

廊下はますます深くなり美しい釜が連続、Mちゃんが蒼の洞窟ならぬ蒼ノ廊下みたいと言うが当にその表現がぴったりだ。この辺りで先行していた2人組みパーティに追いつく、聞けば更に6人パーティも入渓しているとの事、時期的な事もあるが黒蔵谷の人気は凄いものである。遡行に話を戻して3M滝を泳いで深淵を持つ5M滝は左手を巻く、更に泳ぎを繰り返せば前方に迫力ある5M斜瀑、一見手強そうだが空荷になって泳いで左手に取り付きボルダームーブで抜けた。ここはアンダーガバから水平ガバへ繋ぐ楽しいところ、先の『鮎返滝』で頑張ってくれはったR畑さんにお礼と言う事で『恩返滝』と名付けたい滝である(^^;。


CS2条2M滝の右手を泳ぎ抜ける 5M斜瀑は釜を泳いで左手を突破

【高山谷出合い(13:35)⇒カンタロウ滝下(15:10)】 中ノ廊下を抜けると河原、高山谷との出合いである。水流比は1:1だが高山谷の方がやや大きい、本谷は左俣でまた廊下になる大釜の6M滝を左手から越えて巨岩のゴーロを右へ左へと交わし登る。やがて暗い廊下に物凄く深い釜を持つ10M滝、滝上には明るくワイドな岩壁を見るが谷中は陽も射さず陰鬱な感じ。突破は厳しく右岸巻きを選択するが木の根頼りの急斜面、どんどん登ると黒蔵谷の雄、カンタロウ滝が勇姿を見せる。何とか谷に戻ってカンタロウと対面、今までの暗い廊下から一転して明るく一気に落ちる30Mの直瀑は絶景と呼ぶに相応しい。


陰鬱な10M滝は苦しい右岸巻き 黒蔵谷の雄、カンタロウと対面

【カンタロウ滝下(15:10)⇒第四支流出合い(16:30)】 さてカンタロウの突破だが直登は無理、左右の高さは同じくらいでどう巻くか悩むところだが右岸に入るルンゼから巻くのが一番マシかと取り付いた。落石に注意しながらかなり上部まで詰めて落ち口方向へトラバース、気の抜けない斜面で小尾根を越えて谷への急降下、これも嫌らしい降りでヒル君の攻撃も気になるところ。第三支流出合いの少し上流に降り着いた時にはヘロヘロになってしまった。

時間は16時も迫りそろそろテン場を探さねばならない。一度河原を見つけたがイマイチでもう少しと進んで行くと前方に樋状の10M滝、どうやら上ノ廊下に入ってしまったらしい(^^;。両岸は高くて巻きは時間を食いそう、ここは右手から入って流れをステミングで抜けたが水量によっては厳しくなるところ。その上で第四支流が入り奥には20M滝が見える、その際に絶好のテン場を見つけて今宵の泊地。豪勢な宴と尽きぬ話、T中さんの歌声と共に黒蔵の夜は更けて行った。


樋状10M斜瀑に奮闘中 第四支流20M滝の際にテン場を発見

《二日目》

【第四支流出合い(7:50)⇒二俣Co510m(8:55)】 6時起床、のんびり朝食を取って出発は8時前、鉛色の上空からは冷たい物が落ちてくる。昨日までの晴れ予報はどうなってるんやろ??。更にいきなりの泳ぎから2M滝を越えると廊下状から一転して穏やかな河原となる。

右岸に石垣を見てのんびり進むとプチ廊下の奥に10M斜瀑、これが地形図に記載のある黒蔵滝だと思うが名前程のインパクトは無い。左手を容易に越えて続く2M滝の右手をへつり登って廊下を抜けた。


たぶん黒蔵滝だと思う10M斜瀑 続く2M滝は右手をへつり抜ける

これでもう廊下は全て抜けた事になって後はどこで詰めに入るかだ。地形図のCo500m辺りで右岸より数本の枝谷が入るがもう少し我慢してCo510mの二俣(1:2)で左俣へ進む。

【二俣Co510m(8:55)⇒林道Co720m(9:40)】 左俣に入ると水も少なくなってガレ谷へと変化、恐らく林道工事の土砂が流れ込んでいるのだろう。今にも崩れそうなガレを慎重に登って次の二俣も左俣を選ぶ、前方には連続する小滝が見えるが通過には問題無し。更に傾斜が増して泥壁に詰まるがR畑さんがステップを切って右手の斜面へ逃げた。そこからは木の根を伝って尾根を登ればCo720m付近で林道へと登り出た。


左俣に懸かる小滝群とガレ Co720m付近で林道へ登り出た

【林道Co720m(9:40)⇒デポ地(12:20)】 後はひたすら林道を歩くだけだが兎に角長い、降りしきる雨が体温の上昇を防いで暑さは感じないが『18.5K』とか『16K』とかの表示があって何処からの距離か?と想像すれば気分が萎えてくる(^^;。


スーパーハウス??? ようやく林道工事の地点へ到着

淡々と歩いているとだんだんトランスしてきて意識が飛んでくる(^^;。そんな状態に陥りながら2時間の歩きで安川大塔林道に合流。いつの間にか雨もあがって空には青空、更に40分の歩きで林道工事の地点へと戻り着いた。

【美しき蒼ノ廊下】 黒蔵谷は噂に違わぬ美しき廊下の谷、やや厳しい箇所も見受けられるが真夏の水遊びには最適の谷ではないだろうか!?。そして沢の御大2人から学ぶ事も多く自分としては最高に有意義で楽しい沢旅であったと思う。そして紅一点、沢リーダー目指して成長を続けるMちゃんの頑張りも忘れてはならない。ご一緒してくれた3人と南紀の山々に心から感謝したい。m(__)m

最後は湯泉地温泉滝の湯で汗を流して帰阪の徒に着いた。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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