挑戦!池郷川!!《不動滝から取水堰堤まで》

渓谷の名称
池郷川本流
山域(ピーク)
大峰
渓谷の概要
『一に池郷』『二に白川又』『三に前鬼』『四に四ノ川』と呼ばれるように池郷川は大峰東面、否、関西屈指の大渓谷である。釈迦ヶ岳から涅槃岳東面の広い流域面積から流れる圧倒的水量は山腹を深く削り悪絶の廊下が延々と続く。その遡行は困難を極め、泳ぎ、登攀、ルート取り、全ての面で高度な技術が要求される関西最強の谷だろう。今回はその下部廊下、不動滝から取水堰堤までを遡行した。
コースタイム
【駐車地】 07:00(最初はゴーロだが20分程で地獄の入り口が扉を開ける)
【不動滝ゴルジュ入り口】 07:20(前衛7Mは左カンテ、不動滝15Mも左から巻き越える)
【不動滝ゴルジュ上】 10:00(抜け口にある堰堤は右手ステップを登るが浸食で外傾している)
【エコ滝下】 11:00(暫く平凡で大釜の2M滝は右手ボルダー突破、エコ滝は左手巻き)
【ネジレ滝下】 13:15(大釜を泳いで瀑芯の左手を直登するが悪い)
【取水堰堤】 14:30(つり橋跡付近から明瞭な山道で林道へ)
【駐車地】 15:45(後はのんびり歩くだけ)
ポイント
【★★★★☆(沢4級)】 ポイントは多数。まずは不動滝ゴルジュ、入り口の大釜を泳いで3M滝は左手を登る、前衛7M滝は左手カンテにロープを延ばすが脆い部分もあってプロテクションには注意したい、不動滝15Mは左手ブッシュ交じりの側壁から巻くが押し上げられて最後は45m×50mロープ2本繋ぎ目一杯の懸垂下降で川床へ降り立った。

続いてはエコ滝手前に懸かる2M滝、大釜を泳いで落ち込みの右手を登るが被り気味、ボルダームーブで楽しいが腕力が無いと辛いかも。エコ滝8Mは直登の記録もあったが一見でルートを見出せず、故に左手から巻くがズルズル斜面のトラバースから25m懸垂下降で落ち口へ続くバンドへ出る。

最後はネジレ滝15M、吸い込まれそうな深淵を泳いで瀑芯の左手を登るが悪い、ハーケンとカム類を多数セットして突破、立木は皆無で確保支点もハーケン&カム。見所は身震いする程凄まじい不動滝ゴルジュとネジレ滝、そしてそれを繋ぐ美しい流れの数々。
下 山
【★☆☆☆☆(林道あり)】 吊り橋跡のやや上流から立派な植林道を巡って林道へ、そこからはのんびり歩いて駐車地へと戻る。
装 備
一般遡行装備必携、ロープ及び登攀具必携、今回持参した装備はロープ45mと50m、ハーケン(各サイズ)、カム類(各サイズ)、ナッツ(各サイズ)、ボルトセット、アブミ。特にハーケンとカムはどんな状況にも対応出来るよう多めに持ちたい。また服装はライフジャケットとウエットを着用した。
お勧め度
★★★★☆
参加人数
3人
所要時間
約8時間半
天候
晴れのち曇りのち雷雨
遡行日時
2007/08/07
地形図
池原
写真室
無し
遡行図
その他情報
《フリクション情報》:良好 《ヒル情報》:生息(被害者1名) 《温泉》:無し 《その他》:無し


【挑戦!池郷川!!】 当初、月曜に日帰り平日沢を予定していたがCRUX仲間が火曜に池郷川下部を遡行する計画を知る。かなり迷ったが関西屈指の大渓谷である池郷川を遡行するチャンスなんてそうあるもんでは無い、相棒にお願いして月曜沢を先延ばしにしてもらった。(この借りはいつかお返しします〜m(__)m)

かくして池郷川の計画に入れてもらう事になった。メンバーはアルパイン系ならお任せのA川さん、タフさとパワー全開のGしおさん、なんちゃってクライマーな私の3人。前夜、杉の湯で合流して下北山を目指す。途中169号の崩落現場が痛々しい、当面は時間規制の通行止めがあるそうで注意が必要だ。池原ダム施設の駐車場を幕営地として小宴と明日の作戦を練りつつ就寝とした。

朝は6時前起床、準備を整えるが今日はウエットにライフジャケットのフル装備、なんだかパンパンで暑いし動き難い(^^;。そのまま車に乗り込み池郷川沿いを100mほど進んだどん突きに駐車した。

【駐車地(7:00)⇒不動滝ゴルジュ入り口(7:20)】 すぐ河原に降りて遡行開始、最初は全く平凡だが美しい流れが心地よい、20分程のんびり歩いて右岸に崩壊地を見ると前方をぐるっと囲むように壁が立つ。一瞬谷はどこ?と言う感じだが90度左折して大釜と3M滝、いよいよ不動滝ゴルジュの始まりだ。


最初は平凡だが美しい流れ 谷が90度左折すると地獄の入り口だ

【不動滝ゴルジュ入り口(7:20)⇒不動滝ゴルジュ上(10:00)】 不動滝ゴルジュは門前の3M滝に始まり前衛7M滝、不動滝15Mと続く悪絶の廊下帯で完全突破の報告は殆ど見かけない。まずは大釜お泳いで3M滝の左手を登る。谷はまた90度左折して前衛の7M滝、迫った空間の底には恐ろしい程の深淵、上空には見上げるばかりの障壁で本当に身の毛もよだつ場所だ。


まずは大釜を泳いで3M滝へ取り付く ここは左手を登るが簡単だ

さて、前衛7M滝だが突破するには左手のカンテを登るしか無さそうだ。ここは私のリードでロープを伸ばす。前半は傾斜が強い上に脆くてしっかりしたランナーが取り難い、ハーケン×1とカム×2で上部のテラスへ出て後続を確保するが確保支点もカム×2なので充分な装備が必要だろう。


悪絶の前衛7M滝は 左手カンテ登攀からテラスへ出る

眼前にはいよいよ不動滝15Mが迫る。しかし完全突破を目指すには一度懸垂下降で廊下の中へ降りなければならない。だが降りたところで登れるかどうか微妙な感じだし万が一の撤退用に懸垂ロープはトップが抜けるまで残しておきたい。とすれば装備的に不十分か?、暫く思案していたが今回は諦めて左手の側壁をA川さんリードで斜上、これも嫌らしいピッチだったが最後は45mと50mロープ2本繋ぎで一杯の懸垂下降で落ち口へと降り立った。


遂に不動滝15Mと対面したが 直登は諦め左手の壁を斜上する

【不動滝ゴルジュ上(10:00)⇒エコ滝下(11:00)】 ようやく廊下は抜けたが前方には巨大な堰堤が(^^;、右手に付けられたステップを登るが角が外傾していて結構怖い、と言うか堰堤のステップが浸食する程の水量・・・今日は少なめのようだが増水時はとんでもない水量なのだろうと驚愕する一幕もあった。

堰堤上は案の定砂利で埋まっており平凡、しかし時折現われる渕は美しくのんびり泳ぎながらの遡行が続く、お気楽モードで遊んでいるとここがあの池郷川だと言う事を忘れてしまいそうだ。


外傾したステップ登りが意外と怖い 暫くはお気楽モードで泳ぎ進む

やがて本当に忘れた頃、大釜の2M滝が登場。ここは釜を泳いで瀑芯の右手を登るが被っている。ボルダー系でクライマーには楽しい場所だが要パワーなので荷物が重いと苦しいかも!?。そこから暫くでエコ滝が登場!、ここも大釜を従えて美しい。


忘れた頃に大釜の2M滝登場! 右手をボルダームーブで越えるが・・・

【エコ滝下(11:00)⇒ネジレ滝下(13:15)】 さて突破だが両岸の壁は垂直、一見でルートを見出せなかった。故に左手からの巻きを選択するが途中に切れたルンゼが出てきて接近を許さない。更に押し上げられて壁に詰まったところからA川さんトップでズルズル斜面のトラバース、そして苦肉の25mの懸垂下降で滝上に続くバンドに出る。後は容易だったがこのルート取りはかなりのロス、エコ滝だけに省エネで最短ルートを模索するべきだった。

滝上からはまた穏やかな渓相に戻る。池郷川下部は延々の廊下を想像していたが滝場以外は比較的穏やかな渓が続く、ただし両岸は高いのでエスケープは厳しそうだが・・・。そうこうしてるうちに前方に迫力ある岩壁が見える。ネジレ滝だ。今日の山場を目前に一本立てて鋭気を充填した。


エコ滝は左手を巻くが悪い・・・ そしてお気楽遡行に戻る

【ネジレ滝下(13:15)⇒取水堰堤(14:30)】 ネジレ滝は右岸から岩壁が覆い被さって流芯は見えない。一見するとどうにも厳しい様子だが先のエコ滝ロスを反省にA川さんが偵察で大釜を泳ぐ。壁を回りこんで見えなくなったがどうやら取り付けそうな気配で私とGしおさんも続いた。対面したネジレ滝は洞窟のような空間を迫力で落ちる15M滝、瀑芯の左に若干のホールドが見受けられるが中間部はかなり難しそうである。

ここはA川さんが渾身のトライ、ハーケン×2、カム×3で見事に突破した。この頃から雷鳴響いて雷雨となる。しかしここは絶えず飛沫のかかる場所、雨でも晴れでも大差は無い(^^;。そしてGしおさんと私も続いたが中間部は非常に悪くA川さんの突破力には敬服するばかりであった。


ネジレ滝の大釜を泳いで偵察 A川さん渾身の直登トライ

【取水堰堤(14:30)⇒駐車地(15:45)】 滝上はまだS字の廊下が続いているが突破に問題は無い、3M滝の右手を登れば明るくなって吊り橋跡と取水堰堤、時間は14時を回っているのでここらが潮時だ。右岸の吊り橋横に入る枝谷を少し登ると立派な木橋発見、後は明瞭だが急斜面の山道をヒーヒー言いながら林道へ、これで一安心!今日の遡行を振り返りつつ談笑しつつ1時間の林道歩きで駐車地へと戻り着いた。


取水堰堤を見て遡行終了! 山水画を見ながらの林道歩き

【挑戦は続く!!】 今回は突然の表明にも関わらずメンバーに加えて頂いたお二人に感謝です。不動滝ゴルジュの完全突破は成功に至らなかったが内容的には上出来だったと思う。特にネジレ滝の直登はA川さんの頑張りが素晴らしかった。惜しむらくはエコ滝の処理、もっとちゃんとルートを読むべきだったし巻くにしてももう少しスムーズなルート取りが出来たように思う。この辺りは自分への反省として次に生かしたいものだ。

私的にはまだ中部と上部のゴルジュが残っているし取水堰堤からコンコン滝までの区間も残置しているのでまた近いうちにきっと池郷川に再訪する事になるだろう。その時はまた美しく厳しい自然と対峙したい。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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