近畿の秘境、宝竜を越えて滝本本谷遡行

渓谷の名称
滝本本谷
山域(ピーク)
南紀
渓谷の概要
大雲取山の西部に深く切れ込む滝本本谷は下流部に名瀑「宝竜滝」懸ける事で有名であるがそれ以外にもいくつもの名瀑を内蔵している、特にコッペ滝周辺や燈明滝から白滝にかけての連瀑帯は素晴らしく関西でも指折りの秀渓と言って過言ではないだろう
コースタイム
【駐車地】 07:25(宝竜滝への林道に駐車)
【宝竜一ノ滝下】 07:35(一ノ滝は左岸巻きだが・・・)
【宝竜二ノ滝上】 08:40(二ノ滝の巻きは容易)
【平維盛住居跡】 10:15(立派な石積みに歴史を感じる)
【燈明滝下】 10:50(絶景の滝、白滝共々左岸を巻く)
【ナベラゴノ滝上】 12:05(ナベラゴノ滝は右岸巻き)
【ボタバ谷導水路】 12:45(ナベラゴノ滝から上部はナメが延々と続く)
【鞍部】 13:05(倒木に悪戦苦闘(T_T))
【滝本本谷取水堰堤】 14:40(尾根を間違えて滝本本谷に戻ってしまった(T_T))
【駐車地】 15:25(堰堤から巡視路を快適に下山)
ポイント
【★★(沢2級)】 ポイントは幾つかあるがまずは宝竜一ノ滝の左岸巻き、左岸に付けられた山道は梯子が落ちていてブッシュ交じりの岩壁を登る事になる、次にコッペ滝下に懸かる15M斜瀑はフリクションを効かせて左手を登るが滑り易く注意が必要だ、燈明滝と白滝は左岸巻き、ナベラゴノ滝は右岸巻き、どれも急斜面だが立ち木も多く問題は無いだろう
下 山
【★★★★(要読図力)】 下山の地図読みはかなり高度な部類に入るだろう、私自身2度目の下山にも関わらず尾根を間違えて滝本本谷の奥コッペ滝上に降りてしまった(^^; 伐採尾根から西走する尾根に上手く乗れれば容易に巡視路に出られるが伐採の倒木等で以前より山が荒れているように思う、滝本本谷に戻ってしまった場合でも取水堰堤まで辿り着けば巡視路が降りてきているので正確な位置把握をする事が大切だろう
装 備
一般遡行装備必携、ロープ必携、(登攀具も持参したが使用しなかった)
お勧め度
★★★★★
参加人数
2人
所要時間
約8時間
天候
晴れ時々曇り
遡行日時
2006/05/04(前夜発)
地形図
紀伊大野
写真室
作成中
遡行図
その他情報
フリクション情報:滑り易い ヒル情報:見なかった 熊野川温泉さつき:480円


【近畿の秘境を目指して!】 2006年のGW開幕、さて今年はどこの沢で遊ぶかと考えていたが先週の会話で甌穴のような深い釜が見たいと言う相棒の希望で南紀の滝本本谷をチョイスすることにした

3日の昼過ぎに集合して168号を南下、和歌山県の滝本を目指すがこの滝本集落へはどこからアプローチするにしても極悪道を延々と走らねばならず骨が折れる、私自身の感覚では近畿で最も山深い場所ではないだろうか? 滝本に着いたのは19時半、宝竜滝への林道に入り車止めの手前に駐車して宴会に興じる、今宵はGW特別食ということで焼肉宴会を楽しんだ

【駐車地(7:25)⇒宝竜一ノ滝下(7:35)⇒宝竜ニノ滝上(8:40)】 4日、6時起床して7時半出発となった、車止めから土砂崩れ跡を横切って谷沿いの遊歩道を進むとすぐに二股となって左股には宝竜一ノ滝51Mが懸かる、嬉々とながら滝下まで行くとまるで空から降ってくるようで吸い込まれそうな深い釜に轟々と落ちていて何度見ても凄い滝だと思う、もし付近の滝で順位を付けるとしたら私は那智の滝よりも宝竜滝に軍配を上げるだろう

さて突破だが直登は到底不可能で巻き道を探す事になる、事前の情報では左岸の壁を回りこんだところに梯子と書いてあるのでその通りに左岸の側壁に沿って右股(杉谷)を50M程登って行くと岩壁のはるか上部に梯子の残骸が見えるのだが下部はズルズルの泥壁だ(^^; 「しょっぱなからこれを登るか・・・」気は重いが登らないと始まらないのでロープを付けて登攀開始、登り始めてみると梯子の杭に使ったのであろう太い鉄輪がところどころ埋め込んであり絶好のランニングポイントとなる、ランニングさえ取れれば臆するものは何も無くスイスイ登って宝竜ニノ滝下に到着v 落差54M、上部で少し腰を折っているが一ノ滝よりも優雅さを感じる滝でこれまた底も見えない深い釜に落ちている(@_@)


絶景の宝竜一ノ滝 左岸を巻いてニノ滝下に辿り着く

ここでも暫し見惚れた後、左岸を巻き上がるが此方は容易な巻きで落ち口に立つと眼前がすっぱり切れ落ち熊野の山並みが見渡せて素晴らしい高度感だ、しかもあまりフリクションが良いと言えず覗き込むのも勇気がいる(^^;

【宝竜ニノ滝上(8:40)⇒平維盛住居跡(10:15)】 ここから谷は大岩の重なる薄暗いゴーロとなるが特に問題となる箇所は無い、暫く進んで谷が鋭く右に曲がると下コッペ滝15M斜瀑が美しい姿を見せる、突破を思案するが登れそうで登れ無さそうななんとも微妙な傾斜である、結局左手の岩と樹林の境目をトラバース気味に登っていくが滑り易く最後で一段高いバンドを伝ってしまい滝上へ懸垂下降(^^ゞ 久々の懸垂に緊張気味だった相棒も無事クリアして先へ進む


宝竜ニノ滝の落ち口を覗き込む 下コッペ滝は左滝際を登るが滑り易い

次に谷は左に曲がってコッペ滝が10Mが待ち受ける、滑るような流れと擂鉢のような釜が絶妙のコントラストを見せる美しい場所だ、左岸をあっさり巻き登ると取水堰堤があり右岸に巡視路の階段が降りてきている(これが後に助けとなる)


滝と釜の調和が見事なコッペ滝 後に天の助けとなる取水堰堤(^^;

堰堤を過ぎると左岸に台地と石積みがあり「平維盛住居跡」と記されている、聞けば維盛は平清盛摘子である重盛の長男でその美貌から桜梅少将とも呼ばれたそうだが武運には恵まれずこの地に落ちのびたと言われている、権勢を誇示していた維盛はこの山深い隠里で何を思ったのであろうか・・・ 因みにこの住居跡前後に懸かるコッペ滝の「コッペ」はコップ状の意とも国兵がなまったものとも言われているが維盛の守る意味での滝であるなら国兵と解して歴史の浪漫を感じていたい


歴史の浪漫を感じる維盛住居跡 ワイドな奥コッペ滝は右岸を越える

【平維盛住居跡(10:15)⇒燈明滝(10:50)】 話は少しそれたが住居跡を越えると谷はまた左に折れてワイドで迫力ある奥コッペ滝10M、右岸の階段状を簡単に越えるとそこには谷幅一杯のナメ床が続いていて思わず「おお〜」っと歓喜の声、南紀の谷はこの連続するナメ床が特徴でもあり見所でもある

ナメが終わると谷は平凡となり暫くはのんびりと河原歩き、右手にイオノ谷を分けると傾斜の強いゴーロ帯となり大岩を巻いたり登ったりするのが面倒くさい(^^; やがて前方には圧倒的迫力を持つ燈明滝30Mが視野に入ってくる


南紀特有のナメ床を進む 下山で尾根を違えてここに下降(T_T)

【燈明滝(10:50)⇒ナベラゴノ滝上(12:05)】 燈明滝は落差30M、幅10M、谷幅一杯飛沫を上げる様は本谷随一と言って過言ではない絶景の滝でここでも暫し見惚れて立ち止まる、この谷はほんと見せ場が多く立ち止まる場所が多いので意外と距離が稼げない(^^; 燈明滝の突破は左岸から巻き上がる、傾斜は強いがしっかりした立ち木も多いのでそれほど苦にならないだろう、続いてこれまた絶景の白滝20Mがお出迎えとほんと嬉しい悲鳴である\(^_^)/ 白滝は燈明滝よりやや傾斜が緩く真夏で沢のスペシャリストなら登れそうな気もするが登った人はいるのだろうか? そんな事を考えながら同じく左岸を巻きあがり最後は水際をへつって落ち口へと抜けた


本谷随一の景観だと思う燈明滝 続く白滝も絶景の滝だ

大岩の埋まる谷を更に登るとナベラゴノ滝15Mが立ちはだかる、この辺りはやや雑然とした感じであるがこれも素晴らしい滝で他の谷ならメインディッシュの1つにもなりうるところだ、今度は右岸に転じて巻き上がるがしっかりとした踏み跡があり明瞭に導いてくれる


ナベラゴノ滝を越えると 打って変わって穏やかなナメ床になる

【ナベラゴノ滝上(12:05)⇒ボタバ谷導水路(12:45)】 滝上はすっかり明るく・・・と言うか暫く進むと右岸側が伐採されて丸坊主(^^; 明るいので適当な河原で昼食タイムを取る、本当はラーメンでもと思っていたがやや時間が押していたので軽く済ませて先を急ぐことに、右にカラオ谷を分けるところからはナベラゴノ谷と名前を変える、因みにナベラゴとはナメ床の意でその名の通り1K以上に続く舗装路の様なナメ床は本当に気持ちが良い、やがて右岸から水路を通じて大量の水が流れ込むところがボタバ谷導水路で本日の遡行終了点だ


気持ちのよいナベラゴを行く 右岸から水路が流れ込む

【ボタバ谷導水路(12:45)⇒鞍部(13:05)⇒本谷取水堰堤(14:40)】 沢から上がり滝本北谷との鞍部を目指すが倒木が酷く踏み跡を外してしまう、まあ斜面を登ればいいだけやからと凹状を強引に登って行くが横たわる木々を跨いだり潜ったりと散々苦労させられた(^^;

鞍部からは西に延びる尾根を進むのだが以前の滝本北谷の時にも書いたようにこの下山は一癖あって滝本本谷に舞い戻ってしまう報告をよく耳にする、しかし前回は上手く降りれたし今日は天気もまずまずだ、まあ大丈夫だろうと進んで行くがこの余裕がこの後焦りに変わる(^^; 予定通り植林から伐採尾根に出るが以前より苗が成長しており見通しが悪い(な〜んか嫌な予感)、それでもコンパスと地形図を頼りに思惑通りのルートを取る、再び植林の中に入るがここも以前より荒れていて倒木を右に左に交わしているうちに目的の尾根を外してしまったようだ・・・、植林の急斜面をどんどん下ると水音がしてきた(汗) やばいと思ったが振り返れば稜線ははるか上で登り返すのも面倒でそのまま谷まで出てしまった(^^;

時間は14時半、登り返すかこのまま谷を下るか時間的にも微妙な状況でとにかく現在位置の把握が最重要と下降地点で相棒には暫し休憩してもらい空荷で偵察をする、本谷のどこかにいる事は間違い無いが暫く下ると10M級の斜瀑が現れた、この規模の滝なら間違い無く写真に撮ってるはずとデジカメで確認するとどうやら奥コッペ滝の上部に降りてきてしまったようだ、しかしこれはラッキーでこの滝を下ればすぐに取水堰堤がある、そこから巡視路が通じているので修正が可能なはずだv


伐採尾根は以前より見通しが悪い なんとか修正して無事下山

一時はどうなる事かと焦ったがこれで一安心、後は高速道路のような快適巡視路をスイスイ下ってストレス無く滝本集落に戻り着いた(*下降路の地図は滝本北谷と同じものをリンクしてあるが全体的に以前より荒れているように思うので位置確認をこまめに行ないたい)

【今回も大満足遡行】 という訳で滝本本谷遡行も大満足のうちに無事下山と相成りました。 後は最後の核心である滝本から168号に出るまでの極悪道、休日の午後なので対向車も多くすれ違いに難渋することしばしば(T_T) 途中「熊野川温泉」の看板を見つけて立ち寄る、お湯はややぬるめだが料金480円とかなりリーズナブル、元気を取り戻してまだまだ長い帰路に着いた。

今回はシーズン初の本格遡行で私も相棒もやや疲労気味であったがほぼ予定通りの遡行が出来たように思う(下山はちょっと焦ったが(^^;) やはり南紀の谷は規模が大きくて美しくこの自然美に出会えるなら長丁場の運転も価値があるというものだ、ガマ谷に静閑瀞とまだまだ魅力的な渓が揃っているので機会を作ってまた再訪したい。


*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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