水姿七変化、沢の楽しみを満喫する前鬼川杖谷遡行

渓谷の名称
前鬼川杖谷
山域(ピーク)
大峰(大日岳)
渓谷の概要
定番の前鬼川本流から左股の深仙股谷へ入りその左股である杖谷を巡るコースだ 前鬼本流は定番の青い水を楽しむ観光沢、深仙股谷は巨岩を縫っての遡行、そして杖谷はどこまでも続くナメが印象的である、一度に3つの渓相が楽しめてしかも日帰りが可能な魅惑の渓といえよう
コースタイム
【林道車止め】 07:05(林道を少し戻って斜面を下る)
【垢離取場】 08:55(簡単綺麗の観光系沢を楽しむ)
【地形図757Mの2股】 09:40(一旦右股に入ってから斜面をトラバース)
【杖谷出合い】 10:40(地形図860M付近)
【地形図1100M付近】 11:45(幾つもに分れる枝谷の一つを詰めるが・・・)
【地蔵尾根乗り越し】 12:25(上手く乗り越すと尾根から木道が見える)
【前鬼宿坊】 13:20(よく整備された快適登山道を下山)
【林道車止め】 14:10(あとは林道を歩いて駐車地へ)
ポイント
【★★(沢2級+)】 最初のポイントは垢離取場上から始まる廊下でどうするか? 踏み後は右岸に付けられているが谷から離れてしまい深仙股出合いまで巻いてしまう、突っ込む場合は大釜の2段6Mの右岸を際どくへつり抜けるが地形図757M2股で巨岩に阻まれる、ルート取りの難しいところだが一旦本谷(内雛谷)に入りCS4Mを厳しい登りで超えてから右岸の斜面をトラバースして深仙股谷に入った、次のポイントは杖谷の詰めで地形図1100M付近から右岸の枝谷を詰める、どこでも歩ける斜面だが登山道との最短距離を推測して上手く尾根を乗り越してもらいたい
下 山
【★★(登山道あり)】 大日岳から前鬼宿坊へと通じる登山道を巡る、よく整備された道で迷う心配も無く楽な下山だろう
装 備
一般遡行装備必携、ロープも必携、ルート取りにもよるが直登に拘るならハーケン等を持参したほうが安心出来るだろう
水濡れ度
腰まで
フリクション度
良好
参加者
PO / あき / 亀
所要時間
約7時間
天候
曇り
遡行日時
2005/09/17
地形図
釈迦ヶ岳
写真室
作成中
遡行図
備考・その他
西名阪(松原⇒柏原):400円 上北山温泉:500円


【青水を求めて前鬼へ】 9月最初の3連休は泳ぎ治めの沢に行こうと考えていたが数日前からめっきり涼しくなって秋本番、しかも天気予報まで怪しくなってめげてしまい観光系の沢に変更(^^; 最近は詰めの地形図読みに面白さを感じていて日帰りで源流まで詰めれてそこそこ大きい沢をと考えて前鬼の左股である深仙股谷から更にその左股である杖谷を遡り尾根越しで大日岳から前鬼宿坊への登山道に出ようと考えた

前夜大阪で集合して幕営地を目指す、この界隈に行く場合以前は下北山の運動公園広場を宿地に使っていたが結構車の出入りが多く賑やか過ぎるので今回は池原ダムの発電施設脇を宿とする、ここは静かでトイレも綺麗で申し分ない、キャンプは禁止されているが車中泊なので問題は無いだろう(^^; 小宴後1時半の就寝、起床は5時半、前鬼林道の車止めには7時前の到着となった

【林道車止め(7:05)⇒垢離取場(8:55)】 前鬼界隈は去年の台風でかなり荒れたと聞いていたがその補修で工事関係の車が多く止まっていて何時もの小広場には駐車出来ず少し進んで車止めの手前に駐車してスタート、林道を少し戻って傾斜の緩い斜面を下る、降り立った谷は枝谷(黒谷)で更に少し下流に歩いて前鬼本流との出合いに到着、何度見ても独特の青水が素晴らしい


今日も1日宜しくお願いします 今日も青い水が出迎えてくれた

ゴーロの中を右に左にとかわしながら快適に進む、右岸から大岩の張り出した1Mナメは岩の下を潜り抜けなおも快適に進むと谷は右に折れて2段10M滝を懸ける、この滝の自分の滝ランクの中でも最上位なのだが今日もコバルトブルーの水を涌きかえらせて踊っている、去年遡行した時には雨天だったせいもありイマイチ感動しなかったと言うPOちゃんとあきも今日は「凄い綺麗〜」「感動します〜」とたちすくむ、何時間見ていても飽きない景色だが今日は先が長くのんびりとはしていられないので左岸の踏み後を伝って滝上に立つ、滝上で右岸に渡る渡渉ももう手馴れたものであっさり通過、ワイドに広がったナメを楽しみながら順調に進む


何度見ても絶美の2段10M滝 何度見ても美しい大ナメ

大きな1枚岩のテラスを過ぎると前方にCS5M滝、右岸をへつりで越えると両岸迫って5M滝を懸ける、ここの釜は中心に大きな岩が出ていてまるでドーナツのよう、ここも右岸を抜ける、更に前方左岸より10M斜瀑が流入して箱状廊下を迎える、この斜瀑は全て湧水で左岸斜面のいたるところから噴出しており前鬼遡行のハイライトの一つと言える場所、苔の緑と湧水の美を堪能して先を急ぐ、この湧水群を過ぎると水色が緑っぽくなる、私的には湧水に含まれる何らかの成分が色に影響を与えているのでは?と思っているのだが真意はどうなのだろう??、そして10M斜瀑を左岸から越えると4M斜瀑と大きなプール、垢離取場に到着でここで本日最初の休憩タイム


5M滝はドーナツ状の奇妙な釜 左岸より大量の湧水が流れ込む

【垢離取場(8:55)⇒地形図757M2股(9:40)】 さてここからは未知の領域だ、垢離取場を過ぎると両岸迫って廊下の様相を呈し谷は左に折れて2段6Mを懸ける、それにしてもこの釜は驚く程に深く神秘的である、突破は右岸に踏み後があり一旦進みかけたがどうも谷から離れて行きそうなので戻る、改めて突破を思案して右岸のスラブ壁をフリクションでへつり抜けるが手がかり少なくバランスが要求される、幾つかのCS滝が続き楽しく越えると家程もある巨岩が積み重なる2股、地形図にある757M地点だ


垢離取場のプール、少し浅くなってる? 廊下の2段6Mは右岸をへつる

【地形図757M2股(9:40)⇒杖谷出合い(10:40)】 目的の杖谷へは左股の深仙股谷に入るのだが巨岩に阻まれており入谷を許さない、右股である本谷(内雛谷)はまだ進めそうなので一旦右股に入り傾斜の緩くなったところで斜面をトラバースして深仙股谷へと試みるがこちらもCS4M滝で詰まる(^^;、暫く考えたが突破するより無さそうだ、仕方なくCS右手の壁を6M程フリーソロする羽目になったが結構悪い・・・ そう言えば少し前にBAKUさんチームが遡行されたそうだがここはどう突破したのだろう?どこか抜け道的なルートがあったのかもしれない??


巨岩の連なる757M2股 階段状8M斜瀑は快適に登る

滝上で上手く対岸に渡り無事深仙股谷へ、谷に入るとまた水が青くなりますます色の謎は深まるばかり?(^^; 暫く進むと階段状の8M斜瀑があり流芯を快適に登る、続いての2条12Mは左側の流れにだけ釜があって変わった地形、ロープを出して中央の岩壁を登るが容易である


城砦のような2条12M滝は ロープを出して中央突破!

更に進むと谷は開けて明るいゴーロが続く、時折びっくりするような巨岩が鎮座するが問題になるような箇所は無く水と戯れながらののんびり遡行、POちゃんとあきは適当な釜を見つけて泳いでいるが軟弱な私は高見の見物(^^;、すると「亀さんは人に行っとけって言う割りに自分は泳がへんのやから〜」と怒られる(汗)、そうこうしてるうちに杖谷の出合い(地形図860M付近)に着いてここでも暫し休憩を取る

【杖谷出合い(10:40)⇒地形図1100M付近(11:45)】 杖谷に入ると苔蒸した緑濃い渓相へと変化する、棚状の2M滝を越えて5Mから続くナメを快適にこなすとゴーロとなって伏流する、何時もなら水が切れたと落胆するがこの日は涼しくて美しい自然林の中を歩いているだけで満足だ、やがて再び流れが戻ると絶え間なく続くナメ、もう水は切れたかと思っていただけにここに来て流れに出会えるとは正直嬉しくなってくる、嬉々としながらナメを登って行くが高度計が1000Mを越えだしてそろそろ詰めを考える時期となる、予定では地形図1100M付近から右岸の枝谷を詰め地蔵尾根を越えて登山道に出る算段だ、1100M付近は沢山の枝谷が入っているが思ったより時間も早かったので昼食がてらじっくり見極める事にした


美しいナメが絶え間なく続く この地点で右岸の枝谷に入る

【地形図1100M付近(11:45)⇒地蔵尾根乗り越し(12:25)】 余談だが18日は中秋の名月である、前夜満腹で食べれなかった大福餅(月見だんごのつもり)を皆で食べる、やや疲労も蓄積してきた頃だったので甘味が身体に心地よい

さてどの枝谷を詰めるかだが結局これと言った決め手が無く尾根を見渡せばどこでも歩けそうだったのでまあ尾根に出てから考えようと一番奥まで続いてそうな枝谷に入る、穏やかな斜面どどんどん詰めて途中から獣道と思われる踏み後を巡る(この辺りで少し神妙になる出来事に遭遇したが割愛)最後ほんの少しだけ急登するとひょっこり尾根上に飛び出した


枝谷を詰めて地蔵尾根を乗り越す 宿坊からは林道を車止めへ向う

【地蔵尾根乗り越し(12:25)⇒前鬼宿坊(13:20)⇒林道車止め(14:10)】 さあ次は登山道へのトラバース・・・と思って見渡すと対岸の斜面に木道が見える(^^; 実はこのトラバース部分を一番懸案してたのだがあっさり解決で後はよく整備された登山道を伝って前鬼宿坊へ、宿坊管理者の方と先の出来事について少し話をして今日は蛭の居ない林道をテクテク歩いて車止めへと戻り着いた

【目まぐるしく変化する渓に満足の1日】 何時もの垢離取場までの観光沢では物足らないと考えての杖谷遡行だったが期待した通りのよい沢旅になったと思う、時間的にも早かったし尾根越えの読みも上出来で日帰り沢としては満足度が高いのではないだろうか

後は上北山温泉で汗を流して少し仮眠して帰阪、大阪に近づくと雨模様?山では曇り勝ちであったが雨には遭わず最後までラッキーな1日であった。 本日もお疲れ様でしたm(__)m

【2005/09/25 追記】 杖谷源流部で遭遇した神妙な出来事について自分の中である程度の整理が付いたので追記しておこうと思う。 報告にも書いた通り我々は杖谷の標高1100M付近で右岸の枝谷を詰めて大日から前鬼の登山道へと出る算段であったがその枝谷の詰め付近でピンク色の人工物を見つけて近寄ってみると遺留品と思われる荷物が散乱するのを見つけた、内容はザックから衣類、調理器具、テント、サーマレストまでテント泊装備のほぼ一式、それが10M四方内に散乱しているのである、周囲を見回してみたが持ち主らしき姿は存在せず汚れ具合や状況から見て放置されてから半年くらいは経過してると思われた。

その時は突然の出来事に驚きを隠せずまた怖さもあってそのまま下山、宿坊の管理者に届け出たところ遭難や行方不明の報告は3年前(平成14年)まで遡りここ最近は報告を受けていないとの事、しかし私の見た状況から考えても明らかに普通では無いのでどうしたものか?と相談すると「一応明日にでも捜索してみましょう」と言う事になり「ではお願いします」とその日は現地を後にした

しかし翌日夜に「今日捜索に入ったが現場を特定出来なかった」と連絡があり、やはり見つけた本人が同行しないと特定は難しく遭難報告も無い事からそのまま放置したいとの見解であった。私としても一旦はそれに了承したが数日経ってどうにも夢見が悪く万が一枕元に立たれても困るので自分を納得させるためにも翌週の24日(土)再訪を決意した

事前の話では再訪するなら同行(現地の方が)しても良いとの話であったが前日にその旨を伝えると「忙しくなったので同行は無理、個人で対処して頂けると有りがたい」と返事が帰ってきた。正直なところ単独での捜索は非常に不安であったがここで行かなければずっと頭の片隅に悔いが残ると思い決行する




*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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