晴天と新緑と美渓、三拍子揃った秀渓の滝本北谷を遡る

渓谷の名称
滝本北谷
山域(ピーク)
南紀
渓谷の概要
大雲取山から流れ数々の名瀑を懸けて滝本集落で小口川へと流れる滝本北谷(たきもときたん)は初心者でも快適に遡行する事ができる秀渓だ 渓中は落葉樹が多く新緑と紅葉の季節は格別だろう
コースタイム
【滝本集落】 07:15(北谷沿いの林道を終点まで進む)
【筆藪滝】 07:40(右岸から巻き登る)
【猿手滝】 08:15(迫力の廊下、巻きは右岸から)
【留湾殿滝】 07:25(美しい渓谷美を堪能)
【ケヤキ原滝】 10:10(これも美しい)
【亀壷ノ滝】 10:55(この辺りが最高に素晴らしい)
【比丘尼滝】 12:50(明るく開けた渓相)
【取水堰堤】 13:20(左岸の巡視路を伝うが)
【鞍部】 13:50(ここからは西走する尾根に乗る)
【滝本集落】 15:25(ピッタリ下山!)
ポイント
【★★(沢1級+)】 沢中で特に問題となる箇所は無いが部屋滝の巻きはあまり高くまで巻かない事、全体的に巻いての突破が多く滝に詰まれば必ず明瞭な踏み後があるので周囲をよく確認することが大切だ
下 山
【★★★★(要読図力)】 下山はかなり手強い部類だと言える、我々が遡行した日は快晴だったのでそれほど苦労を感じなが悪天時の伐採尾根付近はそうとうやっかいだと思う
装 備
一般的は遡行装備は必携 通常のルートならロープ不必要
お勧め度
★★★★★
参加人数
7人
所要時間
約8時間
天候
快晴
遡行日時
2003/04/27(前夜発)
地形図
紀伊大野
写真室
作成中
遡行図
その他情報
フリクション情報:良好 ヒル情報:見なかった


【大阪(17:30)⇒滝本集落(23:30)】 4月になり日差しもまぶしくなってきた そろそろ本格的な沢シーズンの到来だ 新緑と美しい美渓を求めて南紀の滝本北谷を訪れる事にした

前夜に天王寺、平野、當麻でメンバーと合流、今回は7人と大所帯だ 私の車一台なのできゅうきゅう詰だったがなんとか荷物も載せる事ができ南紀滝本を目指す 大阪から約5時間の行程で11時半ごろの到着、北谷出合いを1K程越えた場所の広い駐車スペースを今回の幕営地とした そしてBAKUさんが持って来てくれた鴨鍋うどんでの宴会が始まる なつちゃんやじゅんさんのボケた話題が花を沿え宵の宴は進んでいった


鴨鍋うどんで宴会中 天気も上々気分も上々だ

【滝本集落(7:15)⇒筆藪滝(7:40)】 沢屋の朝は早い?5時半起床、7時出発、手際よくテン場を撤収して歩き出す 今日は雲一つない最高の天気だ、しかも前日までは雨が降っていたため水量も多く沢登りのコンディションとしては文句の付けようがない 滝本小学校(廃校)横から細い林道に入り15分も歩くと終点となり池のような広い釜に轟々と落ちる筆藪滝(15M)の前に飛び出した

【筆藪滝(7:40)⇒猿手滝(8:15)】 さあ滝本北谷遡行の始まりだ筆藪滝は左から巻き登り途中で仙道と合流して超える 暫くはゴーロ状で変化は無いが苔と清流が心地よい 大岩の鎮座する小滝を超えると両岸が迫ってきて猿手滝(20M)の前に立つ この猿手滝は支谷の越前谷に懸かるもので北谷はここで右折、両岸極度に立った100M程の廊下の奥に部屋滝(20M)を懸けるのが見える この部屋滝はその名の通り完全な袋小路で突破は不可能だろう 深淵に爆音を轟かせていて迫力満点だ


広く深い釜が神秘的な筆藪滝 越前谷に懸かる猿手滝

【猿手滝(8:15)⇒留湾殿滝(9:25)】 部屋滝の突破は不可能なので越前谷との出合いに一度戻り猿手滝右に付けられた巻き道を登って行く 途中越前谷へ降りる分岐もあるが右へ進路を取るとゴルジュの上を伝って落ち口付近へ降りられる 部屋滝の上は広いナメが美しい場所だ ここから渓相が変わってこの谷の特徴でもある1枚岩とナメの競演する明るい谷となる


袋小路を割って落ちる部屋滝 部屋滝上からはナメが多くなる

15分の歩くと留湾殿滝(7M)だ滝身は小降りだが広い釜を持っていて美しい ここで小休止、ゲキさんは水中メガネとシュノーケルを取り出し、なつさんはザックを抱いて飛び込み、じゅんさんは滑り台〜とか言って滝から飛び込む・・・ 4月だというのに水泳大会となった(寒〜)


留湾殿滝は広い釜を持つ 南紀独特のナメに自然の神秘を感じる

【留湾殿滝(9:25)⇒ケヤキ原滝(10:10)】 水泳タイムも終わり留湾殿滝の右手を小さく巻くとこの上も素晴らしいナメが待っている 明るい渓相に新緑と柱状摂理の岩壁がなんともいえないコントラストで迫り桃源郷と呼ぶに相応しい場所だ 若干傾斜が強くなりゴーロや大岩を右へ左へかわして行くとやがて谷は左に曲がり右から支谷を入れる その先で一際大きな岩壁と滝が姿を現すとこれがケヤキ原滝(30M)でこの谷の盟主的な存在だ 末広がりに落ちる女性的で優美な滝で心が和む場所であろう


散在する岩を快適に越えて行く ケヤキ原滝は北谷の盟主

【ケヤキ原滝(10:10)⇒亀壷ノ滝(10:55)】 さてケヤキ原滝の突破だが直登は不可能だろう 両岸も50M級の岩壁が立ち並びいかにも険悪そうだ だが探せばちゃんと巻き道があるので安心だ まず滝左岸の樹林帯を登るとすぐに柱状摂理の壁に当る、その壁の基部を右へ右へと登って行き壁が切れたところで回りこんで今度は左へ左へと登っていく 上段にも壁が出てくるのでその基部を左に登っていくと落ち口の少し上部に降り立つ事ができる 踏み後はしかっりしているので迷う事はないだろう

ケヤキ原滝を巻き終えるとすぐに屏風滝のお出ましだ 落差20Mすっきりした1枚岩を垂直に落ちる丹精な滝でこれほど整った滝はめったに無いだろう それ程までに美しい滝で暫し時間が経つのを忘れる程だ この滝も直登は無理で滝の右手から5M滝となって合流している小さな支谷の手前から巻きにかかり一旦支谷を渡る そこから屏風滝の岩壁を回り込んで滝上にでるのだが この途中に小さな台地状の場所があり幕営に最適の場所だろう 回りこんだところが亀壷ノ滝(10M)でこの滝も美しく名前の由来にもなった亀型の深淵が明るく澄んだ水をたたえている ここでまた小休止、亀壷という事で私も泳がされる羽目になった


絶品の美しさを持つ屏風滝 亀型の深淵を持つ亀壷ノ滝

【亀壷ノ滝(10:55)⇒取水堰堤(13:20)】 亀壷ノ滝の右岸を絡み終えるとこの谷のハイライトとも言える長く美しいナメの登場だ 随所にエメラルドグリーンの淵を従えS字状に緩やかに流れる渓相はまさに庭園そのもので自然の偉大さを実感せずにはいられない 写真を撮る者、小淵に浸かって遊ぶ者、あまりの美しさにみんな一向に足取りが進まないのでさっき休憩したばかりであったがここで更に大休止をすることになった


エメラルドグリーンの小淵が連続 美しいナメの競演に足取りは進まない

暖かい日差しと新緑の緑が眠気を誘いついつい横になりたくなる 30分程休息しただろうか 名残惜しいが後行程のこともあるので出発することにする 左岸の壁が薄くなってくるとようやく長く続いたナメ群も終わり一転して平凡な河原が多くなってくる しかし飽きるという訳ではなく白い小石の敷き詰められた河原をのんびり歩く事ができゆったりした気持ちになるから不思議だ これもこの谷も持つ魅力のせいだろうか


日本庭園のような美しさ 平凡な河原歩きもまた楽しい

暫くは河原歩きが続くがやがて再び両岸が立ちだすと谷は右折して比丘尼滝(20M)を懸ける その昔山賊が尼僧を突き落としたという悲しい伝説が残る滝だが周囲は明るく開けて伝説の面影はどこにもない ここは右手斜面の踏み後を巻き登って落ち口に出る ここから再びナメが連続するが今度は規模が小さくすぐに終わり谷が直線状になると前方に取水堰堤が見え本日の遡行はここで打ち切りとなった


悲しい伝説の残る比丘尼滝 取水堰堤で遡行を終える

【取水堰堤(13:20)⇒滝本集落(15:25)】 さて本来ならここで万万歳 後は下山を急ぐだけなのだが実はこの谷は下山が少々やっかいらしい!? この遡行のために他のサイトを調べてみたが下山に苦労している報告も何件か見受けられた なので今回は下山のルートも詳細に書くことにしよう

@ 取水堰堤の右の導水路を本谷との鞍部に向って進む
A 導水管はすぐにトンネルとなり巡視路の看板に導かれて小道を急登する
B すぐに小尾根に出て左進、そこから50M程でさらに分岐があり右斜面をトラバースしていく小道に入る(標識は無い)
C 滝本本谷との峠にでる(本谷へは直進の標識あり) 進路を右に取って小さなピークを越える
D 暫く尾根通しに歩くと伐採された禿尾根が見えてくるのでその尾根を目標に歩く
E 伐採された尾根の台地状(どこか大台ヶ原風)を回りこんで西走する尾根を下っていく
F 途中から再び植林の中に入り踏み後の無い尾根をどんどん下る
G やがて再び踏み後がしっかりしてくると尾根は南に向きを変え更に下ると本谷からの導水道と合流する
H あとは導水管の上に付けられた巡視道を辿れば滝本集落の中ほどに降りてくる

今回は天候に恵まれたため意外と容易な下降となったが悪天候時の伐採尾根付近は進路を見失い易いと思うので正確なルートファインディングが必要となるだろう 今回下降路の詳細もマップ化したのでそちらの方も参考にして頂きたい


伐採尾根付近 悪天候時は注意 ドンピシャで駐車地点に下りた

滝本北谷は豊富な水量と美景の滝やナメとほんと息もつかせない素晴らしい谷であった この谷との出合いよきメンバーと遡行出来た事に感謝しつつ大阪への帰路についた



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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