鈴鹿最難! 雨上がりの滝洞谷完全突破を目指せ!!

渓谷の名称
滝洞谷
山域(ピーク)
鈴鹿(茶野938M)
渓谷の概要
鈴鹿最難として有名、谷は石灰岩で覆われ水流は無く鏡のようなツルツル滝と光も差し込まないほど深いゴルジュはケービングの世界に近い 登りの内容も技術的に厳しい登攀が大半で少人数で選りすぐりのパーティでのみ遡行が許される場所である
コースタイム
【墓地横駐車地点】 06:45(最初は平凡な河原だが・・・)
【洞窟ゴルジュCS5M滝上】 07:50(洞窟ゴルジュは連続アブミで超える)
【井戸底ゴルジュ8M滝下】 08:40(周囲は真っ暗、まさに井戸の底)
【井戸底ゴルジュ7M滝上】 10:20(上段7Mがこの谷の核心部)
【迷路ゴルジュ3段25M滝上】 11:10(ここも最後が滑り易い)
【2股】 12:45(左股に入る)
【茶野938M】 13:40(カレンフェルトの台地状)
【送電線鉄塔】 14:00(尾根に踏み跡は無いので要読図力)
【墓地横駐車地点】 14:50(植林に入ると山道がある)
ポイント
【★★★★★(沢5級)】 全てがポイントとなるがその中でも特に問題となるのが洞窟ゴルジュ5M滝、井戸底ゴルジュ8M、7M滝、迷路ゴルジュの抜け口だろう、洞窟ゴルジュはフリーでの突破は厳しくカム類から連続アブミで抜ける、井戸底8Mはそれ程でも無いが上段7M滝はツルツルでワンポイントだがかなり怖い、迷路ゴルジュはステミングを駆使して切り抜ける、見所は谷全体に漂う異様な雰囲気
下 山
【★★★★(要読図力)】 下山もまともな道は望めず茶野から北に延びる尾根を追って送電線鉄塔付近から植林に入って山道を下る、この時注意したいのが間違っても茶野から北西に延びる尾根には入らない事(滝洞谷に戻ってしまう)
装 備
一般的な遡行装備にプラスして登攀用具が必要、今回持参した登攀用具の詳細は、ロープ(9X35)(9X20)、ハーケン(各3枚)、ハンマー、フレンズ(適セット)、ナッツ(適セット)、アブミ(各1セット)、ヌンチャク(各5本)、確保器、下降器、シャント等
水濡れ度
水無し
フリクション度
やや滑り易い
参加者
助役さん / 佐野さん / 亀
所要時間
約8時間
天候
曇り
遡行日時
2003/11/16
地形図
篠立
写真室
作成中
遡行図
備考・その他
名神高速(吹田⇒彦根):3000円 名神高速(八日市⇒吹田):2450円 近江温泉:700円


【2003年の集大成⇒滝洞谷出合い(22:40)】 11月に入り秋も深まってそろそろ今年の集大成的な遡行をしたい・・・と言う事で候補に上げたのが鈴鹿の北部の滝洞谷。助役さん、佐野さんと言う強力助っ人にお願いしてこの日実現となった

この谷は通常の沢登りとは違い少し特殊なので遡行記録の前に少し特徴を紹介しておこう 鈴鹿北部鈴ヶ岳から北走する尾根(茶野938M付近)を源にもつ滝洞谷、遡行対象となる流域の大半が石灰岩地帯で伏流のために水流は無い、渓相を一言で例えるなら洞窟そのもので両岸ハングした光も届かない程の深いゴルジュとワラジのフリクションも効かないツルツルのスラブ滝、そしてハングしたチョックストーン(以下CS)滝とで構成されており沢登りと言うよりはケイビングに近い 技術的にもアルパインクライミングの要素が強くフレンズ、アブミ等の登攀具を必要とする 鈴鹿最難!まさに集大成に相応しいこの谷にどんなドラマが待ち受けているのか!?こうご期待!

前夜8時にJR大阪駅に集合して降りしきる雨の名神高速を一路鈴鹿へと向う、彦根ICから306号線を辿り大君ヶ畑付近で犬上川を渡ってすぐに右折、墓地前の駐車スペースに車を止めて今宵の幕営地とした この時点で雨は小康状態ながら湿気が多くすぐ横が墓地である事も手伝ってなんだか不気味な雰囲気だ・・・ と気味悪がっても仕方が無いので毎度の宴会で盛り上がり12時消灯となった

【滝洞谷出合い(6:45)⇒洞窟ゴルジュCS5M滝上(7:50)】 朝は5時半起床、前夜の雨は上がったもののアスファルトの路面はまだ濡れている この分では谷中のコンディションも期待出来ないが取り合えず準備を進めて6時45分スタート、林道を奥へ進むと直ぐに行き止まりとなり大堰堤の前に出る 右から簡単に巻くと上は広い河原で前方に50M以上の壁が見える この時点では険悪さは微塵も感じられないが5分も進まないうちに谷は人っ子一人がやっと通れるくらいにまでに圧縮されゴルジュが真っ暗な口を開けて現れる この変化は極端で両岸の壁はハングして高く立ち朝だと言うのにヘッデンがほしくなるくらいだ。 そしてすぐにCS3M滝が行く手を遮る この滝は少し戻って右岸を攀じり滝を越えた辺りから10M懸垂下降で谷中に戻った


堰堤上の河原から遡行が始まる ゴルジュに入ると闇に閉ざされる

更に続くCS3M滝の左を簡単に越えると谷は右に曲がってツルツルの3M斜瀑を迎えステミングで乗り切ると今度は左に曲がってすり鉢のような釜に水を溜めた6M枯滝で完全に行き止まる ここが「洞窟ゴルジュ」と呼ばれる最初の難関で両岸は恐ろしいくらいにハングして聳え全く逃げ場は無い・・・ 以前佐野さんが怪我をしたキンゴさんを降ろすために何度も釜を往復した場所だ 暫し見上げてルート取りについて確認、佐野さんトップで斜上する右クラック沿いに登る事にした 本当はこう言った怪しい場所はフラットソールに履き替えてトライする予定であったが濡れてツルツルのため結局最後まで使えず終いであった


ツルツル3M斜瀑はステミングで 洞窟ゴルジュ6M滝登攀

さてこの滝の登りだが取り付きはフレンズとハーケンでのアブミ、一段登って残置ハーケンにアブミ、更にハーケンを打ってアブミ、そこから乗り越し部分がスローパー気味で悪いが残置シュリンゲを掴んで落ち口へと抜けた(全員突破に要した時間は約30分)

【洞窟ゴルジュCS5M滝上(7:50)⇒井戸底ゴルジュ8M滝下(8:40)】 しかしまだまだ始まったばかりですぐにハングしたCS3M滝が立ちはだかる ここは左手ガバから右足ヒールフックで一気に乗り込んで突破、V2ボルダーくらいのムーブであったがそこは毎週CRUXで鍛えている面々だけに余裕であった(^_^)v


洞窟ゴルジュ、アブミの連続で突破 続くCS3M滝はヒールフックで!

これで一旦ゴルジュを抜けゴーロとなるが両岸は高い壁が続いていて進む意外に逃げ場は無い 左岸から抉ったようなルンゼを入れると再び深い廊下帯へと入って行く その手始めはS字状に折れ曲がったスラブ滝でステミングとパーミングを駆使して突破、この辺りから周囲の木々がざわめき立っているのが気になりだす・・・丁度S字滝を登っている時だ「ギャギャッ」と言う奇声後に頭くらいの石が幾つも落ちてきた(>_<) 幸い怪我は無かったがトップを行く佐野さんは間一髪と言う感じである 最初は何かの動物が逃げたのだろうとあまり気にしなかったが一向にザワザワ感が収まる気配が無くどうやら逃げたのではなく追ってきているようだ

暫く進んで岩陰で休息を取っている間も奇声と木々の揺れる音の後に落石があり怖くて落ちついている暇が無い 五感を研ぎ澄ませ辺りの状況を探ってみると、どうやら猿の群れが我々を追って来ているようで多分縄張りに入った侵入者を威嚇しているに違いない


一旦ゴルジュは抜けるが・・・ 再びツルツル滝が行く手を阻む

この先は滝と猿、上下に気を使いながらの遡行となった 歯ごたえのあるツルツル滝(全て直登)を幾つか越えると両岸は恐ろしい程に峻立して来て険悪さがを剥き出しになってくる 第二の核心部「井戸底ゴルジュ」が間近に迫ったのだ この「井戸底ゴルジュ」はその名の通りで両岸共にハングして真っ暗闇、一見袋小路に見えるが左岸壁の裏側に煙突のような空間があって8Mの枯滝が雫を垂らしながら落ちている その上空に円状の空が見え本当に井戸の底から上を見ているような場所、そして以前キンゴさんが怪我をしたのもこの場所だ


井戸底ゴルジュが眼前に迫る 井戸の底から光を求めて

【井戸底ゴルジュ8M滝下(8:40)⇒井戸底ゴルジュ7M滝上(10:20)】 ここも佐野さんトップで登攀開始、取り付きはフレンズとナッツ、中段まで登って残置にアブミを掛けるがそこから上はツルツルでホールドが乏しいらしい・・・少し苦戦していたがそれでもステミングと思いっきりのよい立ちこみで突破、上部のCSから確保して後続も続く、セカンド以降なら気分的にもかなり楽で私と助役さんはあっさりとクリア、さあ一息と思いきや目の前には更に悪相なツルツルの7M滝(T_T) 左岸は大きくハングしてのしかかる、もちろん戻るも事も巻く事も困難な場所なので突破するより仕方が無い・・・


下は真剣、上は余裕の笑顔 更に悪相な7M滝にトライ

ここは助役さんがトップで登る、取り付きはハーケンによるアブミだが岩が剥離して上手く効かないようだ 一段登って更にフレンズをセット、効きを確かめる為に引っ張ると岩が剥がれてあっさり抜けて1M程飛び降りる羽目に(^^; 更にその拍子に1本目のハーケンも飛んで気付けばビレイしていた私も佐野さんもみんな転んでいた(^^; 幸い落下距離が短かったので怪我は無かったがヒヤッとする一瞬であった 気を取り直して再びトライ、普通ならビビリが入る所だがこの辺りの精神的タフさは流石助役さんである、再度ハーケンを打ち込み一段上がってぬめったカンテ上へハイスッテプで乗り込む(ランニングが充分でなくかなりリスキーなムーブであった) そこから残置ハーケンと新たにハーケン1本打ち足してアブミ、上部でカンテからツルツルの滝身に移るところがかなり怖いが左岸ハングのガバを掴んで乗り切った 滝上での確保点が中々見つからなかったそうだがハーケンを打って無理やり作る 後続以降は今回もセカンドの気楽さで楽勝(^_^) 特に私はセカンドばかりで・・・(^^; トップ役の助役さん、佐野さんに感謝ですぅ〜m(__)m


井戸底7M滝を登る佐野さん だが更にツルツルの滝が続く

【井戸底ゴルジュ7M滝上(10:20)⇒迷路ゴルジュ3段25M滝上(11:10)】 続いて釜にだけ水を溜めた3M滝、腿下まで浸かって(冷たい〜)ステミングで抜けるとようやく開けて「井戸底ゴルジュ」も終わりとなる ここから暫くはゴーロとなるが苔むした5M滝を越えると再び前方右岸に大きな壁が立ちはだかる スッキリとしていて濡れていなければフリーでもラインが引けそうな壁だ、ここで谷は右に折れ6M枯滝、上には長いナメが連結していて最上部は見えない ここが最後の核心部「迷路ゴルジュ」と呼ばれる場所だ まず下部の6Mとナメ滝を佐野さんがフリーソロで華麗に登って残置に確保を取って後続が続く、そこからナメは傾斜を増して3段25M滝へと続いて行く この3段、下の2段は容易だが最後の1段が立っていて悪い・・・助役さんがフリーソロで突破したのだがステミング、ハイスッテプ、キョンを織り交ぜて内容はまさにボルダー、私も続いたが中間部のステミングに勇気のいる楽しい場所であった


「迷路ゴルジュ」を見上げる 3段25M最後の一段を登る

【迷路ゴルジュ3段25M滝上(11:10)⇒2股(12:45)】 もう終わりか!?と思ったがすぐにすり鉢状の釜を持った2M滝、釜は身長以上に深く泳ぎ以外に正面突破は出来そうも無い(T_T) しかしこの時期の泳ぎは絶対に避けたいもので(軟弱なんですぅ)・・・暫く相談して佐野さんが左岸の斜面を巻く事になった、下から見ていると容易そうに見えた斜面だが登ってみると大違いで泥付きと脆い岩肌を恐る恐るトラバースして懸垂10M(最後は空中懸垂)で谷中に戻った これで滝洞谷の核心部は終わり今までの様相が嘘のように穏やかとなる 暫く歩くと水が流れ出し河原をどんどん進むと地形図標高610M付近で2股となる


最後の難関、釜の深い2M枯滝 2股、この地点で左股に入る

【2股(12:45)⇒茶野938M(13:40)】 さあ後はこの2股を詰めるだけなのだが滝洞谷は最後まで我々を飽きさせる事は無い、この詰めも地形図をにらめっこしながらである、詳細を書くと・・・

@、まず2股から2たつ目の支谷(枯谷)を左に入る
A、そこから植林の薄くなった斜面を左に(北側)トラバース気味に登ると尾根状の場所に出る
B、尾根状をどんどん登ると傾斜がきつくなり壁が現れる
C、その壁の基部を左へ左へと登って行き最後ガラガラの斜面を直登するとカレンフェルト(石灰台地)の広がる茶野938M(標示有り)に飛び出す

登り着いた茶野938M山頂はガスに覆われ何も見えないが周囲に木々の無い台地状なので晴れている時は絶景が拝めるポイントであるのだろう!? さて何も見えないので長く留まっても仕方が無いので早速下山する事にする・・・ この下山も的確なルートファインディングを必要とする楽しい?下山なので詳細を記載する・・・


真っ白けの茶野938M山頂 710M送電線鉄塔付近

【茶野938M(13:40)⇒送電線鉄塔⇒(14:00)墓地横駐車地点(14:50)】

@、山頂から一旦右(北東側)に進路を取る(この時点で間違っても北西に延びる尾根には入らない)
A、暫く下りると真北に延びるなだらかな尾根状となるのでドンドン下りる(踏み後無し)
B、標高710M付近にある送電線鉄塔までその尾根を下る(時折テープが出てくるがあまり当てには出来ない)
C、鉄塔下から右(北東)にトラバース気味に下りて植林帯の中に入ると細い踏み後が出てくる
D、暫く進むと「山火事注意」の赤い看板が見えそこからは明瞭な踏み後となり伝って下りるとぴったり大君ヶ畑の集落にたどり着く

【素晴らしき滝洞谷】 そして14時50分に無事駐車地点に戻り着いた。 今回自分達の山行を自慢する訳では無いがこのコンディションの中で完全突破をしてこの時間に下山出来たのはかなり早い部類に入ると思う。これも助役さんや佐野さんの的確なアルパイン技術、そして我々3人のクラックスでの弛まざる?努力の賜物であると確信している

最後はドロドロになった身体を近江温泉で流して帰路についた。 滝洞谷は噂に違わぬ素晴らしい場所であった また機会があればこの谷と再会したい。



*遡行難度や下山難度のグレード目安、サイトの観覧方法については「初めてお越しの方へ」をご覧下さい。



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